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新しく秩父にセーフキャスターが加わりました

In ニュース, 測定 by naozumi


このたび、セーフキャストに新しく、秩父の方々が加わりました。
(左から立野さん、関根さん、野口さん)

秩父は山に囲まれたとても美しいところです。冬の間は雪をかぶった山々が連なっています。個人的にはちょっと長野を思わせられるとても素敵なところです。

しかし、秩父の山々にも3.11後の福島原発事故で多くのセシウムが降りそそいだそうです。その実態を早く把握したいと、セーフキャストに連絡が入りました。秩父はまだセーフキャストが計測をしていない領域です。

彼らは『放射能からみんなの健康といのちをまもる秩父の会』の方々です。定年退職した先生らが集まって、食品の測定もしています。食品測定器はアドフューテック社のATOMTEX。1台160万円もするこの機械はドネーションで購入し、食品測定を希望する人には、1検体1000円で受け付けています。1検体にかかる検査時間は約30分、放射能測定濃度7ベクレル(キロ)以上が計測できます。

昨年7月にこの機械を導入して以来、同会で測定し、測定値の高かったものは、ニュースレターで紹介されています。
http://www.saitama-np.co.jp/news10/24/02.html

ちなみに、これまでに多いのは、シイタケ、キノコ類です。チェルノブイリでもそうですが、特に野生のキノコ類は高く出ています。

同会の計測値の一例を挙げると

生シイタケ 秩父市内 2012年12月 209.5 ベクレル/kg
野生キノコ(タマゴダケ) 横瀬町 2012年10月 367 ベクレル/kg
野生キノコ(一本シメジ) 秩父市内 2012年10月 223 ベクレル/kg
野生キノコ(赤モミタケ) 両神村 2012年10月 219 ベクレル/kg

 

また、同会では、家屋など建物の雨どいの土も計測しています。雨どいの中の土には大変高く、最高で11万9700ベクレル(1キロ当たり)が測定されています。

秩父方面では、鹿や猪など、野生動物の肉を食する習慣もあるようです。数値はシイタケやキノコほど高くはありませんが、野生の動物も汚染されていることが数値からわかります。


食品測定ができる「みんなの測定所」

同会は、講演会や学集会など、集めた情報を地元の人達と共有したり、近隣の団体と提携して活動を行うなど、放射線情報について積極的に発信しています。

秩父のメンバーは定年退職した先生を中心に運営されています。理系の先生方だけに、放射線の知識は十分お持ちです。

これから、セーフキャストの地図に秩父方面のデータがどんどん反映されていくことでしょう。

セーフキャスト・ボランティア
キキ…

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情報、誤報、偽情報(または『これはおまえさんたちが探しているドロイドではないぞ』――スター・ウォーズ エピソードIV/新たなる希望より)パート1

In Hardware, センサーネットワーク, ニュース, 主要記事, 放射線, 測定 by azby

Whose job is it to make this stuff easy to understand?

「探しものが必ずしも見つかるとは限りません… 」

[パート2へ移動]

セーフキャストでは、当初から、収集するデータは正確で分かりやすく、有益かつ上手に可視化され、誰もが簡単にデータ・アクセスできるべきだと考えてきました。これは多くの点で、情報デザイン、並びに社会的責任を果たすというビジョンにおいて、模範事例(ベストプラクティス)となっているかと思います。

その際、セーフキャストのデータのオープン化と透明性が最重要とされてきています。我々のデータの表示方法は、直観的かつ、思慮深さがあること、コンテクスト(背景情報)も提供することを原則としており、さらに、デザイン的な美しさも追求しています。

求めている情報が誰にでも簡単に見つけられるように、内容もできるだけ分かりやすく伝えられるよう心がけてきました。このような価値観と相反する形で、諸公機関から公式情報が発表されるたびに、私たちは戸惑いを覚えます。

率直な感想として、原発事故が起きてからの最初の数週間、政府は失策を続け、全くと言っていいほど情報が欠如した状態が続いたので、一般市民は政府が発表する情報の質やアクセスしやすさといった点では、かなり妥協せざるを得ませんでした。政府による情報提供は当然の義務であり、法的にも義務付けられているはずなのですが、結論から言うと、私たちセーフキャストの多くは一生懸命に放射能情報を収集し、事実確認を重ねてきました。まずここでは簡単な近況報告をします。

(1)政府は予想以上に多くの情報を持っている(以前は私たちが全く期待していなかったのですが…)

(2)しかし、依然として情報の内容確認、事実確認が必要で、政府サイドではない第三者による調査が必要である

(3)何カ月もかけて調査しても、依然として情報収集のためにすら近づけない地域がある

さしあたって(2)と(3)については仕方がないとしましょう。つまり、セーフキャストは今後も引き続き調査していかなければならないということになるのですが、こういった調査は得意としていますし、モチベーションの高いメンバーが揃っているので、今のところさほど大変なことではありません。調査も精度を増し、信頼も築きあげ、かつては敵対した立場にあった人たちとも同志となりました。

しかし、そうは言っても、(1)に関しては、セーフキャストとしても、今後どのように対応していけばいいのか非常に悩むところです。様々な公式情報が入手可能となりました。また、その多くは信頼できる内容です。

しかし、分かりやすく有益な情報に簡単にアクセスできるようになったとまでは言えないのが現状です。今のご時勢、腕の良いウェブ・デザイナーや有益な情報を見つけるのは容易なはずですが、文部科学省(以下、文科省)のウェブサイトは利用者にとって、「できるだけ難しく、使いにくい」(as difficult as possible – 略して “ADAP”)作りになっています。ですので、そこから情報を見つけたり、データを使用することが非常に難しくなっています。ウェブサイトの担当者が良い仕事をしようと心掛けてくれれば、もっと上手な形で情報公開できるはずなのですが…。…

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情報、誤報、偽情報(または『これはおまえさんたちが探しているドロイドではないぞ』 - スター・ウォーズ エピソードIV/新たなる希望より)パート2

In Hardware, センサーネットワーク, ニュース, 主要記事, 放射線, 測定 by azby

文部科学省の放射線モニタリングポスト、通称「ドロイド」。この写真のドロイドはNEC製造でごく一般的なタイプです。これは会津美里町の旧赤沢小学校前に設置されているものです。

政府のモニタリングポスト

[パート1へ]
ここ数ヵ月、福島県内および福島隣県に設置された放射線モニタリングポストの精度について活発な議論が交わされていますが、セーフキャストは、この件に関して2012年7月の時点で既にブログ記事を執筆しています。

“改善された”モニタリングポストで 放射線・線量レベルをごまかす東京電力(TEPCO)

約2700基のモニタリングポスト(現時点では675基が確認済み)が設置されています。見た目がスター・ウォーズのR2D2に似ていることから、セーフキャストのメンバー間では親しみをこめて「ドロイド」と呼んでいます(上記写真を参照)。電源は装備された太陽光パネルと内蔵バッテリーから供給されます。文部科学省を介し、政府は巨額を投資して(正確な金額は定かではありませんが)モニタリングポストを設置し、更に資金を投入して空間放射線量測定値が閲覧できる専用ウェブサイトを作りました。

リンク:文部科学省 リアルタイム線量測定システム 環境放射能水準調査結果のページへ

このウェブサイト、見た目はなかなかの出来です。サイト利用者は知りたい県をクリックし、更に特定地区をクリックすると、各地方自治体を選べるようになっています。スクロール・リストが右側に現れるので、特定のモニタリングポストを選べば、その地点の測定線量値を確認することができます。(例えば、福島県郡山市の場合、393基のモニタリングポストがスクローリング・リストに表示されます。) ズームイン、ズームアウト、また、スクロールもできるGoogle Fusionマップも現れ、各モニタリングポストが丸い彩色点で表示されます。この青い点をクリックすれば、現時点での各地点の放射線量を確かめることができます。線量は10分ごとに更新されており、1ヶ月分のデータをまとめてダウンロードすることもできます。このようなデータを文部科学省(以下、文科相)が提供してくれるというのは、ありがたいことです。

その一方で、このシステムは呆れてしまうぐらい問題を抱えています。文部科学省のモニタリングポスト測定値とセーフキャストの測定値の比較調査をしていて分かったのは、このシステムでは、1回のサーチでは福島県内のごく限られた1地点の情報しか分からないという点です。ある特定の場所の情報を捜し出すにはかなりの時間がかかってしまい、イライラします。累積時間によるデータ推移を知りたくても、過去のデータにさかのぼれません。また、ダウンロードできるデータには様々な制約がついていたり、効率よく探したい場所の測定値を探し出すのが難しい作りになっているのです。そうなのです、文科省はこのシステムを 「出来るだけ使いにくいように」(ADAP:As Difficult As Possible)作っているのです。…

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南相馬市へ放射線データを提供することになりました

In Events, ニュース, 放射線, 測定, 移動測定報告 by Pieter

2月21日に南相馬市の市民生活部環境衛生課を訪問しました。

南相馬市は最近メディアに登場することも多く、放射線測定の要望も高い原発に近い市町村の1つです。市民レベルでも放射線の状況を知りたいとの要求は高いと思われます。

今回はSAFECASTの活動に協力いただける団体から提供を受けた

bGeigieの測定データをWeb上に公開した上でデータを利用いただけるように協力することを申し出て快諾されました。南相馬市のWebページからSAFECASTのページをリンクいただくことになりました。

3月から数週間にわたり、SAFECASTのボランティアでその団体をサポートしながら南相馬市のほぼ全域についてデータを順次公開していきます。

会談の終了後、関係者で記念撮影をさせていただきました。

前列は南相馬市の松本課長中央と課のメンバーの皆様です。後列は訪問したSAFECASTメンバー左側からyukaさん、Robさん、渡邉さん一番右は今回のサポートを担当していただける鷲山さん.

南相馬市市役所で放射線モニターの前にて。今回のアレンジをしていただいた郡山の渡邉さん(右)と西川(筆者)

Reported by Eiji Nishikawa…

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Measuring Radiation in Snow

In 主要記事, 測定 by Pieter

On January 22-23 it snowed heavily in Tokyo. To see if it affects radiation measurements I ran out with a few geiger counters to see if I could detect any change.

Snow in Tokyo

To measure the fresh snow I …

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全世界空手道連盟・新極真会 going bGeigie

In ニュース, 主要記事, 測定 by Pieter

12月2日(平成23年)、私たちは一台のbGeigieを持参して全世界空手道連盟・新極真会 (“Shinkyokushinkai”) の緑健児代表を訪ね、緑代表に手渡してきました。WKOは空手世界選手権大会を開催することで日本のみならず世界的に有名ですが、ちょうど第10回目の世界選手権大会が東京で開催(10月22~23日)されたところでした。


from left to right: Sakurako Shima, Pieter Franken, WKO President Midori, and JAM

私たちは知人の島桜子さんを介して、WKO総本部事務局長の小井泰三さんと国際課の田中洋さんに会いSafecastの紹介を行いました。両氏はSafecastの活動に大変関心を示し、私たちに協力を申し出てくれました。話し合いの結果、WKOは、北は北海道から南は九州に到る同会の支部が順次開催する国内選手権大会日程に合わせて、bGeigie計測ツアーを行うことを提案してくれました。WKOの各地区支部の会員たちが大会開催に先立ち当該圏内でbGeigieを搭載した車を走らせ計測活動を行い、大会当日に次の開催地の支部会員へbGeigieを引き渡してくれるのです。これによって、bGeigieリレーは基本的に日本全国を網羅することになります。このリレーの出発点は北海道に決まり、最初のドライバーたちは以下のルートを走りました。…

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SeabrookでのSafecastの活動

In 主要記事, 測定, 論説 by sean

今年の初めに、私たちは世界中で放射線を監視している一番古い市民グループの中の1つであるC-10の仲間の何人かと会えるという喜ばしいことがありました。1986年に設立され、ニューハンプシャー州のSeabrook Station (シーブルック・ステーション)原子力発電所に関連した健康や安全の問題について調べる活動をしており、小さなセンサーネットワークをこの活動にささげています。彼らは彼らの歴史を共有してくれて、私たちの努力について励ましてくれました。

私たちの多くの注意が日本、特に福島にある(当然そうなりますが)一方で、私たちはまだ問題が発生していない地域のこの種のデータが必要なことを理解してきました。私たちは今は福島から集められていますが、今年の事故の前のある時点でのこの種のデータがあれば、何がどのように起きたかについてより多くのことを知ることができるでしょう。この理由により、私たちは機会があれば他の地域についても測定をする活動を進めてきました。最近、Safecastのアドバイザーである Ray Ozzieが新しく開発したbGeigieとともにSeaBrookのそばに行き、発電所の周りを車で周回することを決め、私たちのデータベースに測定結果を追加しました。これが彼が測定した地点の地図です。

 Rayによる追記:

  車で周回した際に撮った写真をいくつかここに掲載します。この写真を撮ったときが肌寒い11月のある日であることを考えるとウィンドサーファーがフレームの中に飛び込んできたことに少し驚きました。またこの地域は、地元のロブスターや二枚貝の漁場としても有名です。

マップ [bing | google] を拡大してOcean Boulevard(オーシャンブールバード)の遊歩道にフォーカスをあててみると、夏大勢の人が遊んでいるビーチから発電所がどのぐらい近いかが
分かると思います。それゆえ、市民が常に信頼性できるオープンなデータを入手
できることが大切です。

過去にアクセスできなかったデータとともに、人々に環境についての情報を提供することはSafecastのミッションの一部であることを示すのにはいいタイミングです。私たちは皆いつも私たちの生活に重大な影響をもたらす可能性のあることに取り囲まれており、このことにより意識を持つことが事態をよくする唯一の方法です。…