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ボランティア報告:ロバート・ケネラーさんが宮城をセーフキャスティング

In マップ, 測定 by Pieter

この報告は、東京大学先端科学技術研究センター教授のロバート・ケネラーさん(通称ボブさん)によるゲスト投稿です。ボブさんは5月末に車で宮城県を訪れた際に bGeigie 装置を搭載し計測してくださいました。ボブさんによる報告、放射線レベルおよび宮城県沿岸で見た被害の写真を以下に掲載します。

 

放射線レベルのマップはここで見ることができます:東京 – 千葉千葉 – 仙台仙台、一関、陸前高田、気仙沼(注:報告で使用されている放射線レベルの単位はカウント・パー・ミニット(CPM)です。300CPMはおよそ毎時1マイクロシーベルト、1平方メートルあたり11,000ベクレルに相当します。)

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セーフキャストについては、Dorothy Parvaz 氏による4月のアルジャジーラ記事「Crowdsourcing Japan’s radiation levels(日本の放射線レベルをクラウドソーシング)」で読みました。まず Marcelino Alvarez 氏に連絡を取り、同氏がピーテル・フランケン氏を紹介してくれました。私は5月半ばに東京を訪れた際(仕事で日本とサンフランシスコを行き来するため)、ピーテルと会いました。ピーテルから紹介された Joe Moross 氏が、bGeiege 装置を私の車に搭載してくれました。

5月25日、東北自動車道を通り仙台に向かいました。郡山市より南で私は車の外で放射線を測るため自動車道のパーキングエリアに立ち寄り始めました。最初に立ち寄ったのは阿武隈パーキングエリアでした。最初の測定値は2942CPMで、これは風雨でいたんだベンチにガイガーカウンターを置いた際の数値です。これは同じパーキングエリアで測った舗道の数値より1000~2000CPM高い数値でした。

郡山インターチェンジのすぐ南に位置する安積パーキングエリアでも同様の現象が見られました。ここでは、古びたベンチでは舗道の測定値の2倍以上である7195CPM(写真0590参照)が計測されました。

最も高い数値が計測されたのは次に立ち寄った安達太良サービスエリアでした。ここでもむき出しになった木のベンチの数値が高く7319CPMで、舗道での測定値はこの半分強でした。舗道から1.5メートルの高さに設置された bGeigie の測定値は、安積と安達太良では確か400CPM台(毎時1.3マイクロシーベルト)だったと記憶しています。

以上から、放射性同位体はむき出しの木に吸収され、舗道のように洗い流される、または分散することがなかったのだと考えられます。

パーキングエリアに立ち寄りながらさらに北に進むうち、bGeigie と持ち歩き用のガイガーカウンターともに測定値が下がりました。仙台の出口前のパーキングエリアである蔵王PAと菅生PAでは、舗道の測定値はそれぞれ446CPMと258CPMでした。この頃には私は舗道の測定を bGeigie …

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エアフィルターの放射性粒子を測定

In 測定 by Marco

 

先月、セーフキャスティングを実施したメンバーから22点のエアフィルターが送られてきました。これらは主に、福島市、東京、いわき市で使用された車のエアフィルターです。福島市で使用された車のフィルターの放射線レベルは全体で平均毎時2.0マイクロシーベルトであった一方、東京で使用された車のフィルターは平均毎時0.2マイクロシーベルトでした。フィルターはガンマ分光法で分析されました。フィルターに集まった塵からは、セシウム134、セシウム137、コバルト60、ウランおよびその崩壊生成物が検出されました。東北で使用された車のフィルターを取り外し取り扱うには注意が必要な量の、呼吸で吸い込む可能性のある放射性粒子が、これらの塵には含まれています。私達のグループは、放射性粒子について校庭の土壌、またセシウムや放射性ヨウ素の取り込みについて食用の海藻も、検査しようと考えています。サンプル採取をしたいと思われる方は必ずこのサンプル採取ガイド(英語)を読んでください。…

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標高 1 万メートル、時速 785 キロでのセーフキャスティング

In 測定 by Pieter

先日私は Safecast の仲間とMITメディアラボで会うためにボストンを訪れました。いいガイガーカウンターのセットを装備していたため、フライト中に測定を行うことにしました。私達が通常使用している機器と同じものであるため、これらの測定値が日本の地上における値と比較してどのようなものか把握することができます。

計測には、私達が bGeigie に使用している Medcom Inspector と同じ、2インチのパンケーキ型センサーが内蔵されている、Thermo Scientific B20 を使用しました。この機器には、便利なログ記録機能が付いており、放射線測定に役立ちました。

以下が旅行中に取得した測定結果です。

– フライト:東京~ボストン
– 千葉県市川市の線量率:毎時0.2マイクロシーベルト
– X線機器内の最大線量率:毎時1.65ミリシーベルト(荷物だけです!)
– フライト中の最大線量率:毎時3.7マイクロシーベルト
– 平均線量率:毎時1.75マイクロシーベルト
– 旅行中の累積線量:21マイクロシーベルト
– ボストンの線量率:毎時0.10マイクロシーベルト
– ケンブリッジの赤レンガ表面の線量率:毎時0.23マイクロシーベルト(赤レンガはもともと若干放射能を帯びています)
– ケンブリッジのMIT原子炉前の線量率:毎時0.11マイクロシーベルト

もちろん、航空機内の放射線を福島における汚染と比較した場合、航空機内では人々は宇宙ガンマ線のみに比較的短い時間さらされるだけですが、福島の原発事故では、人々は終始放射線にさらされる上、強いベータ線を発する浮遊粒子にもさらされています。

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福島市訪問( 2011 年 6 月 1 日)

In マップ, 測定, 論説 by admin

1. はじめに

2011年6月1日(水)、Safecast から託された 2台のガイガーカウンタ (International Medcom 社 CRM-100 および Inspector Alert) を持って、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の代表を務めていらっしゃる中手さんにお会いするために、福島市を訪ねました。この記事は、その記録です。

 

2. 新幹線にて

東京から新幹線「つばさ」で福島を目指しながら、参考までにと思い、たまに車内の放射線レベルを測定しました。宇都宮駅 (停車中) では 0.12μSv/h だった放射線レベルが、郡山に近づくと 0.42μSv/h になり、郡山駅 (停車中) では 0.56μSv/h を記録しました。郡山-福島間では 0.51μSv/h でした。

車内で、走行中にも関わらず高い放射線を検出できることが分かったので、帰りには、より細かに測定を行うことにしました。福島県による児童福祉施設等の放射線モニタリング調査結果をマップした際 ( http://goo.gl/UoMdZ )、県境を越えて放射線管理区域レベル以上の場所が広がっていることは推定できたのですが、福島県外には同様のデータが無いので、どこまで広がっているのか、その境界が分かりません (とそのときは思っていましたが、データはあったようです)。新幹線で南下しながら測定を行うことで、その境界がどこにあるか、当たりが付けられると考えたのです (結果は下の「5. まとめ」に書いています)。…

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敦賀と山田町

In 測定 by Rob Oudendijk

2011 年 6 月 12日、私と林 由佳、DSM TV の撮影班は、会社のビデオ撮影のため敦賀を訪れ、その際に美浜と原電の原子力発電所近辺を Inspector で計測しました。以下がその時の測定値と写真です。

年月日 位置座標 -1 位置座標 -2 場所 空中での測定値 地表( 1 cm )での測定値
2011/6/12 35°41’47.48″N 135°58’33.37″E 美浜 0.227 uSv/h 0.08 uSv/h
2011/6/12 35°44’54.28″N 136° 1’37.26″E 原電 0.209 uSv/h

 

2011 年 6 …

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発見と検証

In 測定, 論説 by Dirk

地図:群馬大学 早川教授による。製図:萩原氏による。

私は茨城県との県境にほど近い、千葉県の北東に位置する我孫子市に住んでいる。…

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東白川郡塙町の農家における測定値

In 測定, 論説 by Ed M Koziarski

今回の原発危機に直面する有機農家に関するドキュメンタリー「 Uncanny Terrain 」制作のため、梶野純子と私は 5 月 23 日にシカゴから福島に移動しました。途中東京に立ち寄り、Safecast の Pieter Franken さんからガイガーカウンター「 Inspector 」を受け取りました。この際、Pieter から使用方法を教わり、また測定値がバックグラウンド(背景)の放射線レベル(計測対象以外から放出される放射線レベル)を100 カウント・パー・ミニット( CPM )(毎時 0.3 マイクロシーベルト相当)上回った場合に計測対象は汚染されていると見なされるとの説明を受けました。

私達は避難区域から 40 km 離れた東白川郡塙町にある吉田さん一家のお宅に泊めていただいています。吉田さんの家族はこの土地で 9 世代、200 年にわたり農業を営んできました。塙町は地震、津波、原発事故による最悪の事態はまぬがれました。福島県による 4 月の報告によると、吉田さんの農地から 1 マイル( 1 マイルは約 1.6 km )離れた地点で採取された土のサンプルからは合計 250 ベクレルのセシウム 134 、137 …

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福島市訪問( 2011 年 6 月 1 日)

In マップ, 測定, 論説 by kenji

1. はじめに

2011年6月1日(水)、Safecast から託された 2台のガイガーカウンタ (International Medcom 社 CRM-100 および Inspector Alert) を持って、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の代表を務めていらっしゃる中手さんにお会いするために、福島市を訪ねました。この記事は、その記録です。

2. 新幹線にて

東京から新幹線「つばさ」で福島を目指しながら、参考までにと思い、たまに車内の放射線レベルを測定しました。宇都宮駅 (停車中) では 0.12μSv/h だった放射線レベルが、郡山に近づくと 0.42μSv/h になり、郡山駅 (停車中) では 0.56μSv/h を記録しました。郡山-福島間では 0.51μSv/h でした。

車内で、走行中にも関わらず高い放射線を検出できることが分かったので、帰りには、より細かに測定を行うことにしました。福島県による児童福祉施設等の放射線モニタリング調査結果をマップした際 ( http://goo.gl/UoMdZ )、県境を越えて放射線管理区域レベル以上の場所が広がっていることは推定できたのですが、福島県外には同様のデータが無いので、どこまで広がっているのか、その境界が分かりません (とそのときは思っていましたが、データはあったようです)。新幹線で南下しながら測定を行うことで、その境界がどこにあるか、当たりが付けられると考えたのです (結果は下の「5. まとめ」に書いています)。

福島市では、いろいろと驚くことがあったのですが、新幹線が福島駅に到着し、そこで降りた人々の服装が普通だったことにまず驚きました。ほとんどの人はマスクをしておらず、中にはTシャツに短パンの男性もいました。私はと言えば、マスクに帽子、長袖でなるべく放射性物質の付着を防げるように滑らかな素材の服を着ていました。

福島駅の新幹線プラットフォームでは、高所にも関わらず 0.58μSv/h が観測されました。

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