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市民科学ワークショップ(初級者向け) | 開催場所 会津大学(協力:Safecastチーム)

In ニュース by Rob Oudendijk

市民科学 ー 自作のセンサーで目に見えない世界を体験

日時: 12月 9日 (日曜)、 10:00–12:00 AM & 01:00–02:30 PM
開催場所: 会津大学 研究棟 HDW3: ハードウェア実験室 (#209) 北ラウンジ、南ラウンジ & S2 (#275)
主催: 会津大学 & CSLA
受講料: 1,000円 (中学生・高校生は無料)
登録: http://www.u-aizu.ac.jp/public/openclass/publec/2018publec.html

摘要:セーフキャスト(Safecast)は、環境に関するデータを使って人々に力を与える活動を行う、世界的な市民科学プロジェクトのボランティア・グループです。

  • 放射線の基礎と関連する物理学
  • ハンズオン:ブレッドボードを利用し、再構成可能で再利用可能なkGeigieキットを作成し、スマートフォンに接続してさまざまな素材の放射線量を測定
  • シチズンサイエンス:世界中のさまざまな市民科学プロジェクトの例とセーフキャストが行うプロジェクトの詳細を紹介

同時開催する上級者向けのワークショップは、同ワークショップより技術的で時間がかかります。

会津大学指導教員:

Michael Cohen;
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福島県におけるセンサー撤去についての意見書

In ニュース by sean

2018年8月1日

ご担当者様

2018年3月20日に発表されました「リアルタイム線量測定システムの配置の見直しについて(案)」(http://www.nsr.go.jp/data/000224268.pdf)で、原子力規制委員会(NRA)は、福島県内にある2800機以上のリアルタイム線量測定システムの約80%を撤去あるいは移動することを発表しています。

このレポートでは、議論のひとつに、会津地方など、2011年以前は東京より放射線量の高いことなどなかったという地域における放射線量についてや、県内の他の地域では著しい線量の低下がみられたことなどが言及されています。

原子力規制委員会は、ほとんどのモニタリングポストが撤去された後でも、手持ちタイプの計測器など、より適切なタイプで十分なモニタリングがなされ、現在のリアルタイム線量測定システムの継続の必要性は低いとしています。

2020年までにモニタリングポストの撤去をする目的は、避難指示、解除区域市町村外の空間線量が“十分に”低く、安定していることから、地方自治体が要請している他の地域にデバイスを移動したいのだといっています。

しかし私たちセーフキャストは、モニタリングポストの撤去は、不適切で思慮の浅い結論だと言わざるをえません。

セーフキャストでは過去に、福島県内のモニタリングシステムがどのように設置されたか、計測しつづけるうえでどのような問題を抱えていたかについて、記事を書いています。

情報、誤報、偽情報 パート1

https://blog.safecast.org/ja/2012/12/information-misinformation-disinformation-or-these-arent-the-droids-youre-looking-for-part-1/

情報、誤報、偽情報 パート2

https://blog.safecast.org/ja/2012/12/information-misinformation-disinformation-or-these-arent-the-droids-youre-looking-for-part-2/

セーフキャストはまた、この機器が有効であることを認めた最初の団体でもあります。たとえセンサーに不備があろうとも、計測されないよりは良いという見解でいたからです。

震災後、様々な反応があったように、事故以前の計画が不十分であったことは、このシステムが、地元の意見を十分に吸収することもなく、急いで設計され、設置されていたことからもわかります。

富士通は開発にたった75日間しかありませんでした。このシステム全体を設置しようと思えば、ハードウェアの開発者には少なくとも、もう少し時間が必要だったことは技術者には明らかです。

特に、ユニット設置の決定は急で、それゆえ、場所によってはモニタリングポストが重複されて設置されたり、足りなかったりといったことがありました。しかし、いまや国民はこのシステムを頼りにしており、モニタリングポストに現れる数値をチェックする習慣がついています。

また、モニタリングポストを設置するために、多大な費用と時間も費やされています。それを撤去してしまうことは、お金と労力の無駄遣いにもなりますし、市民の公共データへの自由なアクセスが妨げられてしまうことにもなります。

NHKの報道によると、モニタリングポスト撤去の最終決定については、各地方自治体が最終敵に決断できるということでした。つまり、モニタリングポストを維持するか撤去するかの最終的な決断はまだ出ていないわけです。

この議論は現在進行形ですが、どれだけの地方自治体がこの計画を継続できるかを予測することは難しいと思います。3月20日の告知では、何十もの福島県内の地域の公式見解が発表されています。

これによれば、半数以上の6~7割の市民は、モニタリングポストの撤去に反対しています。

いわき市の公式発表には、「撤去の申し出はあまりにも唐突で、放射性物質の存在は引き続きあるし、市民は引き続き放射線量への懸念が消えなることはない」というものでした。

福島第一原発の廃炉への道のりはまだ始まったばかりで、先はまだまだ長く続きます。いわき市は、今後の事故にそなえて新しい避難計画を準備していますし、市民は精神的な平穏のために、モニタリングポストの継続した設置を望んでいる」と発表しています。

郡山市も、「市民の半数以上が、福島第一原発が廃炉となるまで、モニタリングポストの継続を希望している。だから、我々もモニタリングポストを維持するべきだ」という見解を発表しています。石川町の役人も「福島第一原発の炉の状態がはっきりわからない現状で、リアルタイム線量測定システムが唯一の市民の不安を取り除く方法だ」と述べています。

栃木県との県境にある白河市の西郷村や新潟県との県境にある西会津の只見町は、明らかにモニタリングポストの撤去に不服を申し立てています。南相馬市はモニタリングポストを継続しておく方向でいますし、飯舘村は、自分達の管理下に新しくモニタリングポストを置くことになっています。そして、これを聞いても驚きませんが、会津放射能情報センターのような、いくつかの市民グループも対抗策を練っています。

2017年7月、NHKは撤去と移動の計画を地図で示しました。

批判は引き続きあるものの、モニタリングポストの必要性は明らかで、撤去は最悪の案だと言えます。最初から、市民の健康や安全を考えた上での計測プランではなく、費用やPRといった政治的理由が動機づけられて登場したモニタリングポストでした。今ですら十分に透明性があるとも言えない状態だというのに、モニタリングポストの撤去は、今以上に透明性を欠くことになると言えるでしょう。

セーフキャストとしては、モニタリングポストは撤去されるべきではないというのが公式の見解です。

また、セーフキャストとしても解決策を見出したいですが、自分達の統制外になるような課題を引き受けたくはありません。もし、原子力規制委員会がモニタリングポスト撤去策を進めるというのであれば。私たちは代案を提案したいと思います。

それは、このプロジェクトをセーフキャストに任せてもらいたいということです。

セーフキャストは唯一の非営利団体として、世界的に認知された、独立したオープンセンサーネットワークを持っています。そのデータは福島県のものももちろん含まれています。このような世界中で信頼されている非営利の組織は他に類を見ず、リアルタイムモニタリング計画を運営するのに、最適の団体だといえます。

セーフキャストの現存するリアルタイムセンサーネットワークは、有効で信頼できるものですし、一台ごとにかかる運営費用も廉価に抑えることができます。

もし、セーフキャストがモニタリングシステムを引き継いだならば、システムを一段と充実させ、放射線情報の発信やコミュニケーションも十分なものにできます。

稼働していないモニタリングポスト。2013年、南相馬市小高区にて。

県内のモニタリングシステムを撤去するというのであれば、セーフキャストに後を継がせてほしいというのが、私たちの提案です。過去7年間の活動の中で、私たちは県内の地域の方々とも着々と信頼を築いてきました。プロジェクトを続けていく上で、地元の人たちと直接交流ができるという強みもあります。私たちが引き継ぐことができれば、住民の皆さんにとっても納得のいく運営をできる自信があります。

ご検討いただけますと幸甚です。よろしくお願いいたします。…

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新しいデバイス「ソーラーキャストナノ」を紹介します

In Hardware, センサーネットワーク, ニュース by sean

By ショーン・ボナー

セーフキャストは2017年の初め、新しいソーラーキャスト(Solarcast)デバイスの製作をすすめることお知らせしました。

そもそもソーラーキャストは大気汚染を測定できる機能を搭載した最初の、そして3G接続およびソーラー電源という機能も持ったデバイスでしたが、その機能の特性から外部の電源や、マニュアルでのデータ取得が不要になり、いわゆる“置いたらほったらかし”での測定が可能となりました。

このことはセーフキャストにとって非常に重要な進歩であり、今後このような方法が主要な測定方法になっていくことは間違いありません。その後アメリカワシントン州ハンフォードの核施設トンネル崩壊の事故が発生し、まさに開発したデバイスがこのような状況に最適であることを強く認識させられました。

しかし、ソーラーキャストにはその利点はありながらも、そのコストおよび制作に時間がかかってしまうという欠点がありました。それに加え、大気汚染センサーの搭載は私たちが時間をかけて取り組んできたものではありましたが、実はハンフォードのような緊急性の高い放射線測定を必要とする状況のモニタリングでは、それほど必要性は高くないこともわかりました。

その反面、セーフキャストが広く利用しているデバイスであるbGeigie Nano(ビーガイギーナノ)は上記のような迅速に行う測定にすぐれていますが、実際にデバイスを持ち歩き、データをアップデートする必要があり、コンパクトかつ自動で動作するデバイスがやはり必要となっていました。

そこで、私たちはそのようなデバイスをデザインし、なんとか2017年末にソーラーキャストナノの完成を発表することができたわけです。このことを大変うれしく思っています。

ソーラーキャストナノを誇らしげに見せるショーン(写真:ピーター・フランケン)

 

ソーラーキャストナノ(Solarcast Nano)は、絶え間ないデバイスのニーズについての議論や技術的な可能性を検討し続けた結果生まれたものです。前モデルのソーラーキャストはレイ・オジー氏がデザイン面をリードし、ソフトウェアの作成を行いました。

ソーラーキャストの大気汚染センサーパーツは多くの電力を必要とするので、それらを取り外し、ビーガイギーに似たより小さいケースに小さいサイズのソーラーパネルを設置しすることで、必要な機能を搭載したソーラーキャストナノを作ることができるようになりました。

トイビルダーラボのジョセフ・チューを3Dモデリングおよびボードデザインのために迎え、ペリカンケース1040(ビーガイギーナノに試用された1010の二倍のサイズでありながら、ソーラーキャストよりかなり小型化されたサイズ)にすべてが収まるようその製作を依頼し、2017年12月19日、ついにソーラーキャストナノが完成したのです。

ソーラーキャストナノのディスプレイはビーガイギーのデザインを引き継いだものとなっています。

ソーラーキャストナノはビーガイギーのDNAを受け継いでいることがうかがえる

スペック詳細は下記の通りです。

  • “置いたらほったらかし”の測定 : ソーラーキャストナノはコンパクト、ワイヤレス、持ち歩き可能で自動で動作するため、3Gさえあれば世界中どこでも簡単に設置可能
  • 自動設定: 自動でセーフキャストのクラウドサービスに接続
  • 低消費電力:ソーラーバッテリーを使い、長期にわたって自動運転ができるよう最適化済み
  • 放射線測定機能: 二つの放射線センサーによってアイソトープを検知・測定
  • 耐性: 長期にわたった屋外での使用にも耐えられるデザイン
  • 小型でカバンにも収まるサイズ
  • 通信: 3G セルラー
  • 位置測定:加速度計つきGPS搭載、これによって測定器が動いた場合位置を再計測可能
  • 電源: ソーラーパネル、バッテリー、内蔵タイプのマイクロUSBチャージャー、リモート・クラウドでの電圧・電流の計測可能
  • バッテリーは着脱可能、18650サイズを標準としているためシッピングが可能
  • 内蔵型SWD“ドラッグ&ドロップ”ファームウェア、その他のソフトウェアは動作に不要
  • 無線アップデート
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ソーラーキャストナノ、福島第一原子力発電所近くに設置完了

In ニュース by azby

1月半ば、セーフキャストはリアルタイムでの放射線測定が可能な新しいデバイス、ソーラーキャストナノを福島県大熊町の立入禁止区域内に取り付けました。この場所は事故のあった原子炉から2kmしか離れていない場所にあります。

公式に発表されているデータの精度を検証するため、もともとセーフキャストは15台の固定式放射線センサーを福島に設置していましたが、今回新しいデバイスを取り付けたことで、この1台が福島第一原子力発電所にもっとも近い距離に設置されたリアルタイムセンサーとなりました。以前こちらのブログでもご紹介した通り、ソーラーキャストナノは太陽電池で動作し、自動でかつリアルタイムにモニタリングできるデバイスで、私たちが開発済みだったポイントキャストとソーラーキャストのデザインを引き継いだデバイスです。12月東京のセーフキャストオフィスで、10台のソーラーキャストナノのプロトタイプをテストセッションで製作し、その後動作テストを行ってきました。そんな折、私たちは福島第一原子力発電所ツアーに参加し、この大熊町の敷地も併せて訪れた際、すぐにこの場所にソーラーキャスト設置の許可を申請しました。ありがたいことに福島県の関係者の皆様の協力により、この情報透明性が非常に重要であると即時に理解していただき、設置実現に尽力していただきました。

大熊町に設置されたソーラーキャストナノはフェンスに針金で固定する形で設置されています。

セーフキャストのタイルマップのスクリーンショット:今回設置したソーラーキャストナノの設置場所は赤字の矢印の位置

ソーラキャストナノを設置した場所は、事故前は「特別養護老人ホームサンライトおおくま」として知られていた場所で、海抜100mの丘の上にあり、福島第一原子力発電所を見下ろすことができます。「サンライトおおくま」は福島第一の3キロ圏内にあるため、2011年3月11日午後9時に避難指示が出されました。幸いに避難活動は順調に行われ、ほかの病院や老人ホーム同様、入居者の中で亡くなった方はいらっしゃいませんでした。現在「サンライトおおくま」を見ると、運営されていた当時はすばらしい施設だったことがわかり、とても残念な気持ちになります。いまだにストレッチャーが施設の入り口をふさぐように放置され、ロビーも人々があわただしく立ち去らざるを得なかっただろう当時の瞬間を6年半たった今も残しています。大熊町のこの丘周辺の地域は、除染のための中期的保管場所として指定されました。私たちが「セーフキャストレポート」に記載したとおり、現在数年のプランの遅れはありながらも、ここは最終的には埋立地および放射性廃棄物関連する施設を見渡す場所に位置することになります。

 

「サンライトおおくま」自体も環境省の管理地域であるため、今回のプランは30年間有効でその後は破棄されることになっています。

「サンライトおおくま」は立入禁止区域内にあり、おそらく長期にわたって避難者が戻ることはないと思われ、周辺地域は30年間放射性廃棄物の保管地域として使われることになっています。

「サンライトおおくま」の入り口の風景は、2011年3月11日の夜のあわただしい避難の様子をうかがい知ることができます。

ソーラーキャストシステムはレイ・オジー氏のアイデアをベースにして、電源の供給やインターネット接続のできない場所での使用を想定しており、設置後は自動で動作すます。福島の現場にいられる時間は非常に限られていた上に、その場所へのアクセスには事前の許可が必要なので、ジョーとアズビーは設置用デバイスを何種類か持ち込み、突然の変更に備えました。いくつか設置の方法と場所の可能性を話し合った後、最終的にとてもシンプルな方法を選びました。ジョーは太陽光を最大限活用できるように角度を調整して、アルミのワイヤーでソーラーキャストナノをフェンスに設置しました。設置自体には20分を要し、動作の確認を待っている間、ジョーはドローンを現場で飛ばして、下の写真を撮影しました。

大熊町のソーラーキャストナノ設置現場近くからドローンで撮影した福島第一発電所の様子

福島に設置される前にこのデバイスは数週間ほど横浜に設定されていましたが、下記のデータグラフで直近30日のデータを見ると、横浜と大熊町の放射線レベルの違いが0.1 毎時シーベルトと5.5毎時シーベルトではっきりと見て取れます。

大熊町に設置されたソーラーキャストナノの時系列データのスクリーンショット。設置場所である大熊町の放射線レベルが 横浜の約10倍であることがわかります。

このデバイスはプロトタイプであることから、私たちはこの設置もテストの一環と考えていますが、ソーラーキャストナノは現在問題なく動作しています。しかし、私たちはさらなる福島第一原子力発電所近くへのデバイス設置を近い将来実現できることを楽しみにしています。

 

 

翻訳:Shoko Hagiya…

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SAFECASTの福島第一原発訪問

In ニュース, マップ, 放射線, 測定, 移動測定報告 by sean

ショーン・ボナー

過去7年間にどれだけ福島第一原発の原子炉建屋の画像を見てきたでしょうか、それは100枚、いえ1000枚にも及ぶでしょう。これまでに写真、イラスト、地図、図面、そしてありとあらゆる角度と視点から詳細をとらえた動画も見てきましたが、実際に実物を目の前にした時、これまでと全く異なった畏怖の念を持ちました。

これこそがセーフキャストにとってのグランドゼロであり、そこにある建物、そして2011年3月に起こった出来事が私の、私たち全員の人生を永遠に変えたものでした。

東京電力がセーフキャストの存在意義の対局となる組織と考える方がいるとすれば、この12月の寒い午後、どうして私を含むセーフキャストの主要メンバーがここに立つことができたでしょうか。ここまでの道のりは決して簡単なものではありませんでした。

 

福島第一原発 原子炉建屋 2号機、3号機、4号機

私たちのリードエンジニアであるジョー・モロス(愛称:ジャム)が、メディアが提供する情報の正否を判断するためのテクニカルスペシャリストとして、これまで度々、メディアクルーとして同行をしてくれたため、過去にも何度かbガイギー(bGeigie:セーフキャストオリジナルの移動型放射線計測器)を福島第一原発内に持ち込んだことはあります。これまで福島第一原発での調査を隠してきたわけではなく、セーフキャストの地図を見ていただければ、数値は確認していただけます。しかし、セーフキャストとしても、特別な形での発表はしてきませんでした。

東京電力は、今、難局に立たされています。自分たちが悪の根源のように見られていることを知っていると同時に、インターネット上では、発電所の従業員の死体が隠されて死体保管所に積み上げられているといったような噂に溢れていることも知っています。虚偽の報告などせずとも、既にかなり難しい立ち位置にいます。

東京電力は巨大エネルギー企業であり、環境的略奪行為を経てなお、状況改善のための自らの努力によって、信頼を取り戻す期待は捨てていないようです。その努力の一例が、第一原発をより多くの人に対して公開する取り組みです。過去1年間に、1万人以上が第一原発を訪問し、2020年東京オリンピックまでには年間2万人の訪問を可能にすることを目指しています。

セーフキャストのメンバーが福島第一原発を訪問した際に計測した放射線の数値。セーフキャストの地図に掲載されている。http://safecast.org/tilemap/

セーフキャストの最優先の使命は、特に環境に影響のある政府や民間産業の活動に関する透明性と公開性の確保です。私たちは誰とでも対話をする用意があり、私たちの観念主義的でないスタンスが、より多くの人・組織と関わることを可能にしています。

この夏、私たちのヘッド・リサーチャーであるアズビー・ブラウンが、東京電力の代表者数名と共にウィーンでIAEA (国際原子力機関)の会議に参加しました。東京電力のプレゼンテーションはお世辞にも素晴らしいものとは言えなかったそうです。アズビーは夕食の際、率直な感想を彼らに伝えました。すると「どうしたら良いプレゼンテーションができるだろうか?」と彼らから尋ねられたそうです。「とにかく、もっと透明性をもつことだ」とアズビーは答えました。彼らは、本当にオープンであることが何を意味するかというセーフキャストの考え、そして東京電力がその基準に届くまでにどれだけの長い道のりがあるか、というアズビーの説明に長時間耳を傾けたそうです。

ここで鍵となるのは、東京電力が、自分たちがオープンであると考え続けており、たとえ2011年以後、同社の公開性が大幅に向上されていたとしても、一般市民が期待をするレベルにははるかに届かず、セーフキャストのような他の情報源から得られる情報より、その公開性の程度が低かったということなのです。

多くの例において、歴史的に透明性の確保に抵抗を続けてきた組織は、結局のところ、情報の扉を開け放ったところで大きな影響はない、ということに気付くのです。東京電力は、バスに乗ったセーフキャストの一行を第一原発に招待してくれ、私たちがセーフキャストの公開データセットと地図に測定結果をアップロードすることを承知の上でbガイギーを持ち込むことを奨励し、一部始終を収めるためのカメラの持ち込みも許可してくれました。

公正な立場で第一原発内の放射線検査結果を公開する独立した第三者機関としてセーフキャストを招待することにより、公開性を確保する機会を得るという決断がされたのです。これは彼らにとって初めてのことでした。しかし私たちも素人ではありません。これが彼らのPRになることも理解しています。それでもなお、私たちは、災害のあのグラウンドゼロにおいて、独立した放射線測定を行うというポジティブな側面を認識した、大変重要な、転機となる瞬間であったと考えています。

撮影した写真の一部(撮影:撮影者未記載のものは筆者、ショーン・ボナーによるもの)

 

視察ツアー開始前、案内者が全行程を紹介。

通常、ほとんどの訪問者が視察中にバスを離れることを許可されないが、私たちはバスを出て歩き回り空気中の放射線測定をすることを許可された。そのため、追加の安全服の着用が義務付けられた。写真は安全服を着こむジョーとピーター。

案内者は、写真だけではわからない多くのことを説明してくれた。

第一原発バスツアー中の私たち。全ての表面がビニールで覆われている。

視察では原子炉建屋の様子がよく確認できた。

福島第一原発原子炉建屋1号機

原子炉建屋1号機前のbガイギー

私たちのbガイギー(右上)と、東京電力による放射線測定数値

集合写真。bガイギ―は10機持ち込んだ。(写真:セーフキャスト)

タンクと袋に入れられ、廃棄を待つ汚染水と汚染土壌

東京電力は、放射線モニターをいたるところに設置し、現状の数値を表示している。今後、これらの数値を入手し、また一部についてはセーフキャストのセンサーとの同時設置をしたいと考えている。

残りの写真については、整理でき次第、近日中に投稿する予定です。そして、また近いうちに再訪問をすべく計画中です。直近の目標は、第一原発内に東京電力のセンサーのチェック機能を果たす独立したセンサーを設置する場所を確保することです。より詳細な情報が得られ次第ご報告します。幸運を祈ってください。

私たちのほとんどの活動はボランティアによって支えられており、サーバーを稼働させ続け、センサーを設置し、セーフキャストの日々の運営を行うコストは決して安くありません。定期的(毎月)な寄付、ワンタイム寄付、またはPatreonを通じての寄付をいただけると、より活発な活動が可能となり、心から感謝いたします。

翻訳:岩本愛

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キックスターターゴールド: Safecast bGeigie Raku (セーフキャスト ビーガイギー ラク)

In ニュース by Rob Oudendijk

キックスターターゴールド: Safecast bGeigie Raku (セーフキャスト ビーガイギー ラク)

セーフキャストは一般市民による環境モニタリングのパイオニアであり、着実に成功と実績を今までに残して来ています。

我々はオープンソース環境での開発やデータへのアクセスに制限を持たず、全てを公開することへの限界に挑戦をし続け、企業には属さず、客観的な立場で運営することを守り続けております。
したがって、活動は全て寄付により成り立っております。
2011年と2012年に行った最初のキックスターターキャンペーンは大成功を収め、最初のハードウエアプロジェクトの立ち上げに繋がりました。
2011年に初代bGeigie放射線マッピングユニットが福島で使用されて以来、システムは常時アップグレードと改良を行っております。
ゴツかった初代bGeigieは2013年にbGeigieミニやbGeigieナノに改良されています。
全てのbGeigieは2インチパンケーキセンサーによって放射線を計測し、GPS位置情報と紐付けた後、自動的にデータをSDカードに記録します。
これにより、ユーザーは集めたデータを容易にサーフキャストのデータベースに提供/公開が出来ます。
bGeigieは歩行中、運転中、水泳中、飛行中、そしてもちろん物体の表面計測で使用可能です。
bGeigieナノはXbee拡張スロットを搭載し、Bluetoothでデータのアップロードを可能にしています。
bGeigieナノは日本、ドイツ、米国における研究所の試験を実施し、2013年にはグッドデザイン賞を受賞しています。

bGeigieナノは現在、1,500キット以上を販売し、セーフキャスト放射線計測システムにおいて世界で最も活躍しているデバイスです。
オンラインマップにあるほとんどのデータはボランティアの方々によってbGeigieナノを使って計測されています。
bGeigieナノは非常に安定したユニットであり、使用方法も容易、且つ安価なため、一般市民、教育機関、企業、研究者など、やる気のあるボランティアの方であれば使用可能です。
しかしながら、bGeigieナノのキットを組み立てる為に必要な時間やスキルはハンダ付けを含み、この点が参加したいと思っている方でも、参加を躊躇(ちゅうちょ)する要素となっています。
特に若い世代やシニア世代のボランティアの方が該当します。

我々のコミュニティが成長するにつれ、より多くの方々に参加して頂く為には、更にシンプルなユニットの必要性に気が付きました。

次世代の「bGeigieラク」が我々の考えた解決策、ソリューションです。bGeigieナノのようにキットですが、はんだ付けを必要としない、事前に組み立てられたメインボードを取り入れ、コンポーネントは差し込み式にしました。また、他の改良も行っています。処理能力の向上やディスプレイを大きくし、読みやすくしました。さらに、Bluetoothを内蔵し、計測結果をiOSやAndroid端末からアップロード出来るようにしました。
bGeigieナノ同様、Arduino対応は変わらず、ハックも容易で処理速度の早いCPUや大容量メモリーに拡張することも可能です。
大きく読みやすくなったディスプレイにより、設定はジョイスティックを使い画面上で行えますのでコンフィグファイルを編集する必要も無くなりました。
我々で作成した最初の試作品は信頼出来る器機ですが、今後は試作品の更なる開発、ファームウェアのプログラミング、そして製造へと移っていくためには資金が必要です。
今回のローンチでは最初に50ユニットを作成し、低所得の個人や団体へ貸し出し、測定が不十分な地域や発展途上国でセーフキャストのコミュニティを支援します。

bGeigieラクを我々のコミュニティに届ける(みなさんです)と共に、今回のゴールである$150kの予算は貸し出し用の器機を導入するサポートをし、下のマップの空白を埋める支援をします。

予算を$200kに延ばせれば貸し出し器機を二倍で準備することが可能となり、さらに、予算を$300kに延ばせれば現在はボランティアで活動中のメンバーを常勤化でき、より早く、専念してハードとソフトの開発をすることが可能になります。

リスクと課題

セーフキャストはハードウエアの開発と提供に経験があり、洗練されたテクノロジーをボランティアの方々の手に届けることを市場の伝統的な方法と比較して費用を格段に抑えることが可能です。
とはいえ、他のオープンソース開発ハードと同様、プロジェクトの遅延してしまうことや費用が予想を超える可能性はあります。
時には、必要な部品が突然と手に入らない事や在庫切れ、調達経路に不具合が生じることもあります。
しかしながら、我々はこれらのような困難を乗り越え、目標を達成する自信があります。
加えて、セーフキャストは非常にオープンな姿勢でセーフキャストのコミュニティへは常に情報提供しています。
我々は独立したグループであり、他のグループへの依存はありません。…

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SOLARCAST: 完成までの舞台裏

In ニュース by azby

どうして我々がソーラーキャストを開発して発表することになったのか、途中いろいろな課題に直面しながら完成に至った過程について少し触れたいと思います。以前ポイントキャスト(Pointcast)ネットワークを配備したとき、センサーを現場に設置するのに電源やインターネットにどのようにアクセスするかという問題に何度も突き当りました。また、装置設定のために複雑な要件があったため配備に時間を要しました。bGeigie 配備の経験から、装置からデータを取得する処理が簡単であればあるほど、より多くのデータを収集できることが分かっていました。大気質センサーを追加するつもりだったので、我々はこうした一連の問題や経験を全て見直すと同時に、振り出しからやり直すとしたらどうするだろうかと考えました。

完全なワイヤレス、ソーラー式、自動設定、そして場所を問わずどのような場所でも置くだけであとは何もせずに稼働する装置を作ろうというアイディアが生まれました。とにかくシンプルなものにしようという構想から、当初はこのプロジェクトを「シンプルキャスト」と呼んでいました。しかし、ソーラー式という要因がこのプロジェクトの特異性を際立たせるものであることを認識し、それを強調するために「ソーラーキャスト」という名称にすることにしました。しかし、始めは実験用回路板とアイディアしかありませんでした。

セーフキャストチームのオリジナルメンバーであるレイ・オジーが全面的にこのプロジェクトをリードし、自ら考案した要件を満たすために自分自身への課題として取り組みました。相互に測定値を検証し将来の装置やその配備のために有益な実地調査ができるよう二重大気微粒子センサーを使うことに決めました。

スタンドアローンの独立したワイヤレス装置の有用性はかなり無限です。

この写真は、どこへでも簡単に移動できるよう車の屋根に搭載可能で今や語り草となっている「スノーボード・マウント」をレイ・オジーが自慢そうに見せているところです。どの国でも、装置はルーフマウントが付いた車ならその上に取り付け可能です。

シアトルに設置されて稼働中の装置:

長時間の耐水性テスト…

スロバニアのファブリコア社で組み立てられた初出荷品:

超低温テスト:

完成した装置、出荷準備完了!

しかし輸送中に予想していなかった問題が発生。重いバッテリーパックが輸送中の振動で緩んで踊ってしまい、他の部品を全部つぶしてしまったケースがいくつかありました。

補強して輸送中の振動や衝撃に耐久するバージョンを設計しテストしました。

テストは終了し、今こうしているうちにも新しい装置は最初の配備場所へ到着しようとしています。詳しくはまた後日報告するので楽しみにしていてください。

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SOLARCASTについて

In ニュース by azby

ソーラーキャスト(SOLARCAST)とは:

セーフキャストは2011年3月に住民ベースの環境モニタープログラムを開始して以来、膨大な経験を積み上げてきました。その学習曲線には難関が少なくありませんが、常にやりがいがあります。セーフキャストのオリジナルメンバーであるレイ・オジーにより最初に発案・設計された新たな装置ソーラーキャストは、bGeigie可動放射線センサーやPointcast固定放射線センサーの配備や、最近のSafecast Airベータテストなどによって我々がこれまで習得した成果が結集されており、何の煩わしさもなく使い易い独立した操作性を提供することを意図しています。

主な特長:

  • 設置すればあとは何もする必要なし(Drop & Forget):ソーラーキャストは小型でワイヤレス、そして持ち運び可能で自立型の装置です。世界中どこにでも簡単に配備できます。
  • 自動設定:装置は利用できる通信プロトコルを見つけて、そのプロトコルを使えるよう自動的に設定を行います。
  • 低消費電力:ソーラー/バッテリー電力で長時間の無人操作に対応できるよう最適化されれています。
  • 放射線と微粒子の両方に対応: 二重放射線センサーと二重微粒子センサーにより信頼性とデータ密度を強化。
  • 頑丈な作り:長期的な屋外での使用を考慮して設計されています。

シャトルワース財団アネンバーグ財団によるサポート、そしてスロバニアのファブリコア社による実際の装置作製作業のおかげで、ソーラーキャスト装置をロサンゼルス市内やその周辺および米国、ヨーロッパ、日本の諸地域に配備できるようになりました。

ボックス内の構造:

バッテリーパックとソーラー電源コントローラ, 空気吸入口, 二重微粒子温度&湿度センサー, 空気排出口, 高電圧電源, 防水IP6Xボックス、三脚マウント付き,  二重放射線センサー, ON/OFF & 外部電源, セルラーモジュール, LoRaモジュール, GPS, 加速度計, メインCPU、BLE付

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セーフキャスト、オフィスが8階から3階に! 新オフィス・オープニングパーティーは3月8日18:30から

In ニュース by Rob Oudendijk

 

先週、セーフキャストはオフィスを移転しました。新しいオフィスは、前と同じビルでロフトワーク内、3階になります。5年前に渋谷道玄坂のこの場所に引っ越してきて、5年ぶりの8階から3階への移転となります。ロフトワークの皆様にはいつも温かいサポートをいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
新しいオフィスは装いも新たに、ちょっとミュージアム風にレイアウトしました。

3月8日(水)18時30分からロフトワークと一緒に移転パーティーを開きますので、ぜひ、足を運んでください。パーティーはひとつ下の階の2階で行います。

新住所:150-0043 東京都渋谷区道玄坂1‐22‐7 道玄坂ピア3階 セーフキャスト・ジャパン(map)

皆様にお会いできるのを楽しみにしています!…

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オープンデータ:未だかつてない重要性

In ニュース, マップ by sean

今、世界で何が起きているのか?ご存知の皆さんへ。
現在、実に嫌なニュースが流れ続けています。
全ての米国環境保護庁(EPA)の権限は凍結され、社員は”変化”に対して話し合いや外部に向かって口外することを禁じられています。
この禁止令は全ての新しい契約を停止し、同庁のウェブサイトから情報を削除することを告げられています。
EPAだけでなく保健福祉省を含む他の政府機関も外部とのコンタクトをやめるよう命令されていて、疾病予防管理センターは予定されていた気候変動に関する大きなイベントを説明もなしに急遽中止しました。
アメリカ合衆国農務省も直ちに公的文書の公開を停止しました。EPAの内部メモは、この新しい静粛令がいかに素早く広がったか?を示しています。

私たちは過去において、確かにEPAを批判してきましたが、一方で情報公開や人々が情報に対して興味を持つために、高いモチベーションを維持して努力を行ってきたことに対しては常に称賛していました。
本日のニュースはそのことに終止符を打ちました。これは完全に晴天の霹靂(へきれき)ではなく、この数か月の間、科学者達は米国新政権が今までの成果を破壊する恐れを予期し、警戒し合いながらできるだけデータの退避を行ってきました。
情報公開を求めることですら、米国情報公開法は現在、難しくなってきています。そしてこれらは米国内の出来事ですが、前出各機関より提供されたデータと情報は世界中の科学者たちに利用されています。今月上旬には、“グローバルな空気情報提供者”を謳うAir Mattersが中国政府よりデータ表示の制限を求められ、直ちに従いました。

こういった行動は、セーフキャストが支持する全てに反するものです。

私たちは、すべての人たちが環境に関してのデータ- 特に健康に関するデータ- が信頼でき、正確かつ自由にアクセス可能なものだと信じています。
今日の問題 – 私たちがセーフキャストを作る前までは - …