日本に於けるCOVID-19コロナ・ウィルス患者数が表す意味

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2020年3月24日Azby Brown著

Reiko Mori, Yoshida Suzuka, Tatsumi Baba, Ryuichi Anbo, Mami Yahiro, Momoha Koya (Furuhashi Lab., Aoyama Gakuin Univ.) 翻訳

 

先週、私はセーフキャストの一員として日本のCOVID-19コロナ・ウィルスの検査についての記事を書きました。

さて、ここCOVID-19コロナ・ウィルスに関する正確な情報の伝達が乏しく、最近では検査基準を満たしている人が検査を断られる事例が増加し、国民の間で不満や疑惑の声が挙がっています。これは政府による政策が原因ですが、検査することを重要視している韓国、台湾やシンガポールなどの国は感染者の数値が緩和し始めたのに対し、日本ではそれらの国と大幅に異なり検査数が少ない状況です。

今後一体どういうことが起こるのでしょうか?

日本国内では、普段の生活に於いて肉体的な距離を保つ傾向を筆頭に、マスクの着用や優れた衛生環境、握手による挨拶が少ない、などの要因を基にCOVID-19コロナ・ウイルスに打ち勝ったという話が最近様々な所広まってきています。セーフキャストでは「マスクの着用」や「規則正しい手洗い」は、肌の接触を減らすのと同等に重要視しており、ここまでの接触感染率の低さを保っているのは恐らくそのお陰なのではないかと思います。

しかし、学校の閉鎖や開催予定であった大きなイベントのキャンセル、そしてなるべく多くの人々が在宅ワークを行っているにも関わらず、文化的背景に基づいた日々の社会的な距離だけでは強制力がとても弱い可能性も出てきています。例えば、公園では毎日のように花見をしに来た人々で埋め尽くされ、電車も常に満員です。バーなどの飲み屋、またレストランなどの飲食店も同じ状況です。私達は今までラッキーだったのでしょうか。

その一方、感染者数は国民全般に於ける検査の不足、そして、誤った分類による単純肺炎で亡くなった方と、COVID-19コロナ・ウイルスで亡くなった方との区別が曖昧で、疑いが晴れないでいる現状も存在します。

日本の各都道府県や地方自治体は、緊急事態時には自主的に対応を行える権限を保持しています。例えば、最近のニュースでは和歌山県のとある町では徹底的なCOVID-19コロナ・ウィルスの検査プログラムを実行しており、効果的なモデルであると讃えられています。また、大阪府の吉村府知事は数日前、4月上旬までに大阪と兵庫の感染者が3,300人になる可能性があると捉え、府における緊急対策の提案をしました。東京都ではホテルに於ける4,000部屋分のベッドを使用可能にしており、他の場所でも同様の対策が実行されるでしょう。

これはあくまでも憶測ですが、厚生労働省ではこのような対応は調整され、発表可能な政策になるまで公開しないのでしょう。このような曖昧な状況下で、吉村府知事が提案する透明度の高いトランスパレントな政策は大に評価に値します。また、彼に続いて、政治家の尾辻かな子さんはツイッターで府知事の提案に関する投稿をしました。

日本でのCOVID-19の検査データはあまりにも曖昧であるとされています。この記事でも示唆するように、日本政府は新型COVID-19コロナ・ウイルスに関わるPCR検査の実施状況について2つのデータを定期的に提示しています。具体的には、同じ題のデータ・セットであるにも関わらず、一方は20,340名、もう一方は38,954名というデータになっています(3月23日付)。この状況下、セーフキャストではジャーナリストや他の有識者の方達とこれらの数値が何を示しているのかを話し合い、多くの専門家が高い数値が実際の検査数を示し、低い数値が「公式」の検査数を示しているのであろうと結論づけました。しかし、これについて、大阪が地盤の衆議院議員である、尾辻氏によるとありがたいことに3月18日のツイートで高い数値は最終的な検査数ではなく、実際には検査サンプルを指している事を明らかにしました(一つの検査を実施するに際し、二つのサンプルを取ることが多い)。結果的に20,340名という数は3月23日時点での日本で検査を受けた人の数であり、その中には検査を複数回受けた方々もいます。よって、この検査数の曖昧さは情報を分析できる有識者でも理解しがたく、容認できない状況となっています。有識者が検査数の曖昧さを理解するのに苦労するのでは、一般市民もそのことについて理解するのは難しくなってしまいます。2013年に福島の放射線モニタリングデータの曖昧さを論じた時、我々はこの現象をADAP(”As Difficult As Possible to find and use” 的確なデータを見つけ、使用と実施に至れない)と呼びました。今回のケースも同じようなことが言えると思われます。

尚、現状では日本での肺炎による死亡率のデータを入手するのが困難とされています。週ごとに公開されているインフルエンザのデータとは異なり、肺炎のデータは得ることができないようです。ジャーナリストのジェイク・エーデルスタインさんは最近厚生労働省に直接連絡し、その際、肺炎の報告期間は3年おきであり、現在例外をつくる意向はなかった。と伝えられたことをツイッターにあげました。なぜなら検査不足は、単なる肺炎の死亡記録が新型COVID-19コロナ・ウイルスによるものとされてしまう可能性があるからです。

繰り返しますが、このような柔軟性と透明性の欠落は国民に対し不信感と疑いを増加させるだけです。なぜ日本政府はこれに気がつかないのか私達は理解しがたいです。現在、厚生労働省に、最近の肺炎と死亡例に関するデータを明らかにするよう求めています。

最後に、セーフキャストのジョー・モロスさんが先日述べていたように、日本は感染カーブの下降期に入ったと見えるかもしれないが、新型COVID-19コロナ・ウイルスとの戦いの10ラウンドのうち、まだ1ラウンド目にすぎず、気を抜いて勝利を宣言するにはまだ早すぎるのではないでしょうか。

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