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COVID-19 検査マップ」発表

In COVID19, ニュース, マップ by sean

 

2020323日 by Sean Bonner

本日、私達はCOVID-19検査状況を見つける際に、その状況を文書化できるようなクラウドソース・マップを立ち上げました。
セーフキャスト設立の信念の1つは、人々が自分自身と友人や家族の安全性について判断を下すために、信頼できる正確な情報にアクセスできる必要があるということです。 これらのリスクに関する独立した信頼できる情報源を提供するために、クラウドソーシングされた放射線と大気質のデータを公開し始めました。

COVID-19はすでに世界中のコミュニティに壊滅的な影響を及ぼしています。
人々は今後の準備をする必要があり、そのためには良い情報が必要です。 また、検査に関する情報を簡単に入手でき、自分の健康と安全性について安心感を与え、この世界的な緊急事態の際により良い判断を下せるようにする必要があると考えています。

しかしながら、現在、世界中の多くの場所で、COVID-19の公式の検査情報はあいまい、かつ不完全であり、人々は関連性も信頼性もない公式情報源に依存しています。必要な場所に検査キットが届かなかった、不完全な検査キットの配達、過度に複雑な承認プロセス、あるいは不公平な優先順位のために、政府が発表する検査の有効性と実際の検査受診の可能性の間に一部の地域でギャップがあることが明らかになりました。
この状況は、3/11以降に私たちが見てきたものを不穏なまでに思い起こさせます。これについては、ここで詳しく説明しました。世界中の人々の助けや意見により、このマップは、さまざまな地域での検査受信の難易度状況に関する情報を提供できることを期待します。信頼できるクラウドソーシングされた情報を提供することにより、このマップが情報をより的確にターゲティングし、政府や当局の説明責任を果たすのに役立つツールになることを願っています。

地図は covid19map.safecast.orgで利用できます。

地図の利用方法:

  • 1.左側のメニュー/ナビゲーションに、マップ上の色付きのマーカーに対応する「無症状で検査拒否された(黄色
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COVID-19に関するベストプラクティス

In ニュース by sean

202033Sean Bonner &Azby Brown

COVID-19コロナウイルスの世界的な広がりとその反応を観察すると、ちょっとしたデジャヴを感じずにはいられません。
セーフキャストが20113月に始まって以来、私たちは信頼、危機コミュニケーション、一般の認識、そして信頼できる情報の不足に脅かされて、自分達の手で問題に取り組み始めたときに何が起こるかについて、重要な経験と洞察を蓄積してきました。 その学習の一部は、今日の状況において役立てることができます。
すべての人にとって相互に有益な結果に向けた努力により、私たちは我々自身の経験からいくつかの高いレベルのベストプラクティスを共有しています。
(注意:ウイルス学や疫学ではなく、コミュニティと環境モニタリングに関する専門知識です。この記事の最後に、信頼できる専門家と情報源のリストを集めました。)

政府へのアドバイス

  • 透明性の重要性. 今日、人々を誤解させることが、明日の有益には結びつきません。逆に、正直は、狂ったように将来に報いることができるでしょう。

  • 安全第一。短期的な政治的利益のために、有権者の長期的な健康を危険にさらさないでください。人々が病気にならないようにすることは、党派的な問題であってはなりません。

  • 信頼は再生可能なリソースではない。今はもう1920年代ではありません。
    人々は信頼できる多くの情報源を持っています。もし彼らがあなたを信頼できると感じないなら、彼らは単に他の場所を見て、振り返らなくなるでしょう。

  • 効果的なメッセージングの重要性。熟練した最高の危機管理者を頻繁に公式の場で話させることです。もし政治家がメディアに出演する必要が場合、専門家以外は懸念の簡潔な表現に限定されるべきであり、その後、すぐに専門家に説明の役割を託すべきです。専門家が、政治家が言ったことをすぐに修正したり、矛盾したりするような状況に置かれないようするべきです。

  • 旅行の禁止、検疫、および学校の​​閉鎖は、非常に破壊的な手段
    影響と停止するタイミングを決定する難しさを熟考ことなく制定すべきではありません。これらの実施の特定の条件および旅行禁止またはその他の閉鎖を終了することは、説明される前に事前に国民に対して、慎重に明示されるべきです。

メディアへのアドバイス

  • 確認されていないスクープの公開を急ぐ衝動を抑えてください。 誤情報ははるかに速く広がり、事後の修正を行っても情報は残ってしまいます。

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福島県におけるセンサー撤去についての意見書

In ニュース by sean

2018年8月1日

ご担当者様

2018年3月20日に発表されました「リアルタイム線量測定システムの配置の見直しについて(案)」(http://www.nsr.go.jp/data/000224268.pdf)で、原子力規制委員会(NRA)は、福島県内にある2800機以上のリアルタイム線量測定システムの約80%を撤去あるいは移動することを発表しています。

このレポートでは、議論のひとつに、会津地方など、2011年以前は東京より放射線量の高いことなどなかったという地域における放射線量についてや、県内の他の地域では著しい線量の低下がみられたことなどが言及されています。

原子力規制委員会は、ほとんどのモニタリングポストが撤去された後でも、手持ちタイプの計測器など、より適切なタイプで十分なモニタリングがなされ、現在のリアルタイム線量測定システムの継続の必要性は低いとしています。

2020年までにモニタリングポストの撤去をする目的は、避難指示、解除区域市町村外の空間線量が“十分に”低く、安定していることから、地方自治体が要請している他の地域にデバイスを移動したいのだといっています。

しかし私たちセーフキャストは、モニタリングポストの撤去は、不適切で思慮の浅い結論だと言わざるをえません。

セーフキャストでは過去に、福島県内のモニタリングシステムがどのように設置されたか、計測しつづけるうえでどのような問題を抱えていたかについて、記事を書いています。

情報、誤報、偽情報 パート1

https://blog.safecast.org/ja/2012/12/information-misinformation-disinformation-or-these-arent-the-droids-youre-looking-for-part-1/

情報、誤報、偽情報 パート2

https://blog.safecast.org/ja/2012/12/information-misinformation-disinformation-or-these-arent-the-droids-youre-looking-for-part-2/

セーフキャストはまた、この機器が有効であることを認めた最初の団体でもあります。たとえセンサーに不備があろうとも、計測されないよりは良いという見解でいたからです。

震災後、様々な反応があったように、事故以前の計画が不十分であったことは、このシステムが、地元の意見を十分に吸収することもなく、急いで設計され、設置されていたことからもわかります。

富士通は開発にたった75日間しかありませんでした。このシステム全体を設置しようと思えば、ハードウェアの開発者には少なくとも、もう少し時間が必要だったことは技術者には明らかです。

特に、ユニット設置の決定は急で、それゆえ、場所によってはモニタリングポストが重複されて設置されたり、足りなかったりといったことがありました。しかし、いまや国民はこのシステムを頼りにしており、モニタリングポストに現れる数値をチェックする習慣がついています。

また、モニタリングポストを設置するために、多大な費用と時間も費やされています。それを撤去してしまうことは、お金と労力の無駄遣いにもなりますし、市民の公共データへの自由なアクセスが妨げられてしまうことにもなります。

NHKの報道によると、モニタリングポスト撤去の最終決定については、各地方自治体が最終敵に決断できるということでした。つまり、モニタリングポストを維持するか撤去するかの最終的な決断はまだ出ていないわけです。

この議論は現在進行形ですが、どれだけの地方自治体がこの計画を継続できるかを予測することは難しいと思います。3月20日の告知では、何十もの福島県内の地域の公式見解が発表されています。

これによれば、半数以上の6~7割の市民は、モニタリングポストの撤去に反対しています。

いわき市の公式発表には、「撤去の申し出はあまりにも唐突で、放射性物質の存在は引き続きあるし、市民は引き続き放射線量への懸念が消えなることはない」というものでした。

福島第一原発の廃炉への道のりはまだ始まったばかりで、先はまだまだ長く続きます。いわき市は、今後の事故にそなえて新しい避難計画を準備していますし、市民は精神的な平穏のために、モニタリングポストの継続した設置を望んでいる」と発表しています。

郡山市も、「市民の半数以上が、福島第一原発が廃炉となるまで、モニタリングポストの継続を希望している。だから、我々もモニタリングポストを維持するべきだ」という見解を発表しています。石川町の役人も「福島第一原発の炉の状態がはっきりわからない現状で、リアルタイム線量測定システムが唯一の市民の不安を取り除く方法だ」と述べています。

栃木県との県境にある白河市の西郷村や新潟県との県境にある西会津の只見町は、明らかにモニタリングポストの撤去に不服を申し立てています。南相馬市はモニタリングポストを継続しておく方向でいますし、飯舘村は、自分達の管理下に新しくモニタリングポストを置くことになっています。そして、これを聞いても驚きませんが、会津放射能情報センターのような、いくつかの市民グループも対抗策を練っています。

2017年7月、NHKは撤去と移動の計画を地図で示しました。

批判は引き続きあるものの、モニタリングポストの必要性は明らかで、撤去は最悪の案だと言えます。最初から、市民の健康や安全を考えた上での計測プランではなく、費用やPRといった政治的理由が動機づけられて登場したモニタリングポストでした。今ですら十分に透明性があるとも言えない状態だというのに、モニタリングポストの撤去は、今以上に透明性を欠くことになると言えるでしょう。

セーフキャストとしては、モニタリングポストは撤去されるべきではないというのが公式の見解です。

また、セーフキャストとしても解決策を見出したいですが、自分達の統制外になるような課題を引き受けたくはありません。もし、原子力規制委員会がモニタリングポスト撤去策を進めるというのであれば。私たちは代案を提案したいと思います。

それは、このプロジェクトをセーフキャストに任せてもらいたいということです。

セーフキャストは唯一の非営利団体として、世界的に認知された、独立したオープンセンサーネットワークを持っています。そのデータは福島県のものももちろん含まれています。このような世界中で信頼されている非営利の組織は他に類を見ず、リアルタイムモニタリング計画を運営するのに、最適の団体だといえます。

セーフキャストの現存するリアルタイムセンサーネットワークは、有効で信頼できるものですし、一台ごとにかかる運営費用も廉価に抑えることができます。

もし、セーフキャストがモニタリングシステムを引き継いだならば、システムを一段と充実させ、放射線情報の発信やコミュニケーションも十分なものにできます。

稼働していないモニタリングポスト。2013年、南相馬市小高区にて。

県内のモニタリングシステムを撤去するというのであれば、セーフキャストに後を継がせてほしいというのが、私たちの提案です。過去7年間の活動の中で、私たちは県内の地域の方々とも着々と信頼を築いてきました。プロジェクトを続けていく上で、地元の人たちと直接交流ができるという強みもあります。私たちが引き継ぐことができれば、住民の皆さんにとっても納得のいく運営をできる自信があります。

ご検討いただけますと幸甚です。よろしくお願いいたします。…

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新しいデバイス「ソーラーキャストナノ」を紹介します

In Hardware, センサーネットワーク, ニュース by sean

By ショーン・ボナー

セーフキャストは2017年の初め、新しいソーラーキャスト(Solarcast)デバイスの製作をすすめることお知らせしました。

そもそもソーラーキャストは大気汚染を測定できる機能を搭載した最初の、そして3G接続およびソーラー電源という機能も持ったデバイスでしたが、その機能の特性から外部の電源や、マニュアルでのデータ取得が不要になり、いわゆる“置いたらほったらかし”での測定が可能となりました。

このことはセーフキャストにとって非常に重要な進歩であり、今後このような方法が主要な測定方法になっていくことは間違いありません。その後アメリカワシントン州ハンフォードの核施設トンネル崩壊の事故が発生し、まさに開発したデバイスがこのような状況に最適であることを強く認識させられました。

しかし、ソーラーキャストにはその利点はありながらも、そのコストおよび制作に時間がかかってしまうという欠点がありました。それに加え、大気汚染センサーの搭載は私たちが時間をかけて取り組んできたものではありましたが、実はハンフォードのような緊急性の高い放射線測定を必要とする状況のモニタリングでは、それほど必要性は高くないこともわかりました。

その反面、セーフキャストが広く利用しているデバイスであるbGeigie Nano(ビーガイギーナノ)は上記のような迅速に行う測定にすぐれていますが、実際にデバイスを持ち歩き、データをアップデートする必要があり、コンパクトかつ自動で動作するデバイスがやはり必要となっていました。

そこで、私たちはそのようなデバイスをデザインし、なんとか2017年末にソーラーキャストナノの完成を発表することができたわけです。このことを大変うれしく思っています。

ソーラーキャストナノを誇らしげに見せるショーン(写真:ピーター・フランケン)

 

ソーラーキャストナノ(Solarcast Nano)は、絶え間ないデバイスのニーズについての議論や技術的な可能性を検討し続けた結果生まれたものです。前モデルのソーラーキャストはレイ・オジー氏がデザイン面をリードし、ソフトウェアの作成を行いました。

ソーラーキャストの大気汚染センサーパーツは多くの電力を必要とするので、それらを取り外し、ビーガイギーに似たより小さいケースに小さいサイズのソーラーパネルを設置しすることで、必要な機能を搭載したソーラーキャストナノを作ることができるようになりました。

トイビルダーラボのジョセフ・チューを3Dモデリングおよびボードデザインのために迎え、ペリカンケース1040(ビーガイギーナノに試用された1010の二倍のサイズでありながら、ソーラーキャストよりかなり小型化されたサイズ)にすべてが収まるようその製作を依頼し、2017年12月19日、ついにソーラーキャストナノが完成したのです。

ソーラーキャストナノのディスプレイはビーガイギーのデザインを引き継いだものとなっています。

ソーラーキャストナノはビーガイギーのDNAを受け継いでいることがうかがえる

スペック詳細は下記の通りです。

  • “置いたらほったらかし”の測定 : ソーラーキャストナノはコンパクト、ワイヤレス、持ち歩き可能で自動で動作するため、3Gさえあれば世界中どこでも簡単に設置可能
  • 自動設定: 自動でセーフキャストのクラウドサービスに接続
  • 低消費電力:ソーラーバッテリーを使い、長期にわたって自動運転ができるよう最適化済み
  • 放射線測定機能: 二つの放射線センサーによってアイソトープを検知・測定
  • 耐性: 長期にわたった屋外での使用にも耐えられるデザイン
  • 小型でカバンにも収まるサイズ
  • 通信: 3G セルラー
  • 位置測定:加速度計つきGPS搭載、これによって測定器が動いた場合位置を再計測可能
  • 電源: ソーラーパネル、バッテリー、内蔵タイプのマイクロUSBチャージャー、リモート・クラウドでの電圧・電流の計測可能
  • バッテリーは着脱可能、18650サイズを標準としているためシッピングが可能
  • 内蔵型SWD“ドラッグ&ドロップ”ファームウェア、その他のソフトウェアは動作に不要
  • 無線アップデート
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SAFECASTの福島第一原発訪問

In ニュース, マップ, 放射線, 測定, 移動測定報告 by sean

ショーン・ボナー

過去7年間にどれだけ福島第一原発の原子炉建屋の画像を見てきたでしょうか、それは100枚、いえ1000枚にも及ぶでしょう。これまでに写真、イラスト、地図、図面、そしてありとあらゆる角度と視点から詳細をとらえた動画も見てきましたが、実際に実物を目の前にした時、これまでと全く異なった畏怖の念を持ちました。

これこそがセーフキャストにとってのグランドゼロであり、そこにある建物、そして2011年3月に起こった出来事が私の、私たち全員の人生を永遠に変えたものでした。

東京電力がセーフキャストの存在意義の対局となる組織と考える方がいるとすれば、この12月の寒い午後、どうして私を含むセーフキャストの主要メンバーがここに立つことができたでしょうか。ここまでの道のりは決して簡単なものではありませんでした。

 

福島第一原発 原子炉建屋 2号機、3号機、4号機

私たちのリードエンジニアであるジョー・モロス(愛称:ジャム)が、メディアが提供する情報の正否を判断するためのテクニカルスペシャリストとして、これまで度々、メディアクルーとして同行をしてくれたため、過去にも何度かbガイギー(bGeigie:セーフキャストオリジナルの移動型放射線計測器)を福島第一原発内に持ち込んだことはあります。これまで福島第一原発での調査を隠してきたわけではなく、セーフキャストの地図を見ていただければ、数値は確認していただけます。しかし、セーフキャストとしても、特別な形での発表はしてきませんでした。

東京電力は、今、難局に立たされています。自分たちが悪の根源のように見られていることを知っていると同時に、インターネット上では、発電所の従業員の死体が隠されて死体保管所に積み上げられているといったような噂に溢れていることも知っています。虚偽の報告などせずとも、既にかなり難しい立ち位置にいます。

東京電力は巨大エネルギー企業であり、環境的略奪行為を経てなお、状況改善のための自らの努力によって、信頼を取り戻す期待は捨てていないようです。その努力の一例が、第一原発をより多くの人に対して公開する取り組みです。過去1年間に、1万人以上が第一原発を訪問し、2020年東京オリンピックまでには年間2万人の訪問を可能にすることを目指しています。

セーフキャストのメンバーが福島第一原発を訪問した際に計測した放射線の数値。セーフキャストの地図に掲載されている。http://safecast.org/tilemap/

セーフキャストの最優先の使命は、特に環境に影響のある政府や民間産業の活動に関する透明性と公開性の確保です。私たちは誰とでも対話をする用意があり、私たちの観念主義的でないスタンスが、より多くの人・組織と関わることを可能にしています。

この夏、私たちのヘッド・リサーチャーであるアズビー・ブラウンが、東京電力の代表者数名と共にウィーンでIAEA (国際原子力機関)の会議に参加しました。東京電力のプレゼンテーションはお世辞にも素晴らしいものとは言えなかったそうです。アズビーは夕食の際、率直な感想を彼らに伝えました。すると「どうしたら良いプレゼンテーションができるだろうか?」と彼らから尋ねられたそうです。「とにかく、もっと透明性をもつことだ」とアズビーは答えました。彼らは、本当にオープンであることが何を意味するかというセーフキャストの考え、そして東京電力がその基準に届くまでにどれだけの長い道のりがあるか、というアズビーの説明に長時間耳を傾けたそうです。

ここで鍵となるのは、東京電力が、自分たちがオープンであると考え続けており、たとえ2011年以後、同社の公開性が大幅に向上されていたとしても、一般市民が期待をするレベルにははるかに届かず、セーフキャストのような他の情報源から得られる情報より、その公開性の程度が低かったということなのです。

多くの例において、歴史的に透明性の確保に抵抗を続けてきた組織は、結局のところ、情報の扉を開け放ったところで大きな影響はない、ということに気付くのです。東京電力は、バスに乗ったセーフキャストの一行を第一原発に招待してくれ、私たちがセーフキャストの公開データセットと地図に測定結果をアップロードすることを承知の上でbガイギーを持ち込むことを奨励し、一部始終を収めるためのカメラの持ち込みも許可してくれました。

公正な立場で第一原発内の放射線検査結果を公開する独立した第三者機関としてセーフキャストを招待することにより、公開性を確保する機会を得るという決断がされたのです。これは彼らにとって初めてのことでした。しかし私たちも素人ではありません。これが彼らのPRになることも理解しています。それでもなお、私たちは、災害のあのグラウンドゼロにおいて、独立した放射線測定を行うというポジティブな側面を認識した、大変重要な、転機となる瞬間であったと考えています。

撮影した写真の一部(撮影:撮影者未記載のものは筆者、ショーン・ボナーによるもの)

 

視察ツアー開始前、案内者が全行程を紹介。

通常、ほとんどの訪問者が視察中にバスを離れることを許可されないが、私たちはバスを出て歩き回り空気中の放射線測定をすることを許可された。そのため、追加の安全服の着用が義務付けられた。写真は安全服を着こむジョーとピーター。

案内者は、写真だけではわからない多くのことを説明してくれた。

第一原発バスツアー中の私たち。全ての表面がビニールで覆われている。

視察では原子炉建屋の様子がよく確認できた。

福島第一原発原子炉建屋1号機

原子炉建屋1号機前のbガイギー

私たちのbガイギー(右上)と、東京電力による放射線測定数値

集合写真。bガイギ―は10機持ち込んだ。(写真:セーフキャスト)

タンクと袋に入れられ、廃棄を待つ汚染水と汚染土壌

東京電力は、放射線モニターをいたるところに設置し、現状の数値を表示している。今後、これらの数値を入手し、また一部についてはセーフキャストのセンサーとの同時設置をしたいと考えている。

残りの写真については、整理でき次第、近日中に投稿する予定です。そして、また近いうちに再訪問をすべく計画中です。直近の目標は、第一原発内に東京電力のセンサーのチェック機能を果たす独立したセンサーを設置する場所を確保することです。より詳細な情報が得られ次第ご報告します。幸運を祈ってください。

私たちのほとんどの活動はボランティアによって支えられており、サーバーを稼働させ続け、センサーを設置し、セーフキャストの日々の運営を行うコストは決して安くありません。定期的(毎月)な寄付、ワンタイム寄付、またはPatreonを通じての寄付をいただけると、より活発な活動が可能となり、心から感謝いたします。

翻訳:岩本愛

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オープンデータ:未だかつてない重要性

In ニュース, マップ by sean

今、世界で何が起きているのか?ご存知の皆さんへ。
現在、実に嫌なニュースが流れ続けています。
全ての米国環境保護庁(EPA)の権限は凍結され、社員は”変化”に対して話し合いや外部に向かって口外することを禁じられています。
この禁止令は全ての新しい契約を停止し、同庁のウェブサイトから情報を削除することを告げられています。
EPAだけでなく保健福祉省を含む他の政府機関も外部とのコンタクトをやめるよう命令されていて、疾病予防管理センターは予定されていた気候変動に関する大きなイベントを説明もなしに急遽中止しました。
アメリカ合衆国農務省も直ちに公的文書の公開を停止しました。EPAの内部メモは、この新しい静粛令がいかに素早く広がったか?を示しています。

私たちは過去において、確かにEPAを批判してきましたが、一方で情報公開や人々が情報に対して興味を持つために、高いモチベーションを維持して努力を行ってきたことに対しては常に称賛していました。
本日のニュースはそのことに終止符を打ちました。これは完全に晴天の霹靂(へきれき)ではなく、この数か月の間、科学者達は米国新政権が今までの成果を破壊する恐れを予期し、警戒し合いながらできるだけデータの退避を行ってきました。
情報公開を求めることですら、米国情報公開法は現在、難しくなってきています。そしてこれらは米国内の出来事ですが、前出各機関より提供されたデータと情報は世界中の科学者たちに利用されています。今月上旬には、“グローバルな空気情報提供者”を謳うAir Mattersが中国政府よりデータ表示の制限を求められ、直ちに従いました。

こういった行動は、セーフキャストが支持する全てに反するものです。

私たちは、すべての人たちが環境に関してのデータ- 特に健康に関するデータ- が信頼でき、正確かつ自由にアクセス可能なものだと信じています。
今日の問題 – 私たちがセーフキャストを作る前までは - …

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セーフキャストとシャトルワース財団

In センサーネットワーク, ニュース, 主要記事, 測定 by sean

[:ja]ご存知の方もいるとは思いますが、南アフリカを拠点とするシャトルワース財団 がセーフキャストを支援してくれていて、私たちの4周年イベントの開催も可能にしてくれました。シャトルワースの特別研究員の一人として(ショーン・ボナーはシャトルワース財団の一員である)、セーフキャストと同じように透明性を重んじ、世界を変える可能性を秘めたプロジェクトに取り組んでいる世界各地の素晴らしい人々と出会い、一緒に働いていることを幸せに感じています。
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セーフキャスト4周年公開イベントを開催します。

In ニュース by sean

[:ja]セーフキャスト4周年記念イベント 震災と原発事故から4年が経ちました。 市民が自ら放射性物質の数値を測定し共有することで安全を手に入れる、「市民科学」という新しい時代のカンファレンスに、参加しませんか? セーフキャストシンポジウム 東京 3月22日(日)12:00~ 会場: 恵比寿Digital Garage[:]
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Safecast OS X アプリ提供開始

In ニュース, マップ, 主要記事, 測定 by sean

Mac OS Xユーザお待ちかねの、PCアプリリリースです。App Storeにてダウロードできます。SafecasterのNick Dolezalが心を込めて開発した公式Safecastアプリがをもたらす豊富なデータセット(2100万以上のデータポイント!)あなたのMacへ放射線測定機能を、そしてSafecastデータの強力かつ迅速な方法を提供します。

Safecastのフルデータセットに加えて、以下を含むさまざまなソースからのデータを閲覧することができます。

•The US Department of Energy / NNSA

(アメリカ合衆国エネルギー省/ 国家核安全保障局)

•USGS and Canadian Geological Survey

(アメリカ地質調査所 および カナダ地質調査所)

•US EPA

(アメリカ環境保護庁)

これらのデータは、福島原発事故後の福島を中心とした広範囲にわたる国内測定結果と、北米大陸のほぼすべてにわたる空間線量データやそれ以外の世界中のデータも含まれています。専用データベースには、日本ではセシウム同位体分布、米国では、天然に存在するウラン濃度分布が含まれます。

視覚化ツールを使用することにより、地図の背景や色を変更でき、複数の測定値をコントラストをつけてみることができます。ビュー(表示)をカスタマイズすることが可能で、あなたの周りで自然放射線や人工由来の放射線がどこでどれくらいの数値なのかを可視化することができるようになっています。

その他の機能:

• クエリレチクルツール:測定値の正確な数値を表示します。

• カスタムレイヤー:個別の層を組み合わせてることにより、カスタム比較を作成します。

• リアルタイムIDW補間:GIS補間スクリプトで時間(または日)を費やすことなく、測定していない地域で短時間に予測値を視覚化します。

• 高パフォーマンス:超高速のSIMDベクトル化、マルチスレッドのコードは、ほぼ瞬時にデータをレンダリングします。

• オフライン機能:データを100%オフラインで使用できます。 (注:これはベースマップには適用されません)…

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Safecast Code

In FAQ, ニュース, 論説 by sean

We’ve been thinking about what describes the Safecast project as a whole, and came up with a list of 10 things that we try to incorporate into all of our efforts. This is something like our code of conduct, what …

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bGeigie Nano レビュー

In Hardware by sean

Wise Time Arduinoに触発されて、ゼロからからbGeigie Nanoを作成した人達がいます。彼らはキットを購入せず、設計図を見て作りました。つまり、自分達ですべての部品を調達して作ったのです。これは、いくらかオープンな設計が可能となったことを示します。彼らは過程や型のレビューを書きとめながら、bGeigie Nanoを組み立てることを楽しんでいました。彼らの作成したbGeigie Nanoからデータがアップロードされるのが待ち遠しいですね!

翻訳: Kohei Watanabe, Mikiya Inoue…

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セーフキャストのウェブマップが更新されました!

In マップ, 主要記事, 放射線, 測定 by sean

私たちのGeoSenseマップのプラットフォームの不幸な活動終焉以来、ウェブユーザーが利用可能なセーフキャストデータの新しい視覚化をしていませんでした。先週、セーフキャストボランティアのNick Dozel( Safecast iOSアプリの立案者 )は、ある実験を試み、素晴らしいことにそしてそれが上手くいきました。いよいよセーフキャストデータの最新版ウェブマップを紹介できることに、胸が高鳴っています 。セーフキャストのデータを表示する際に直面した第一の問題は、データが大量であることと、データが常にアップデートされるので、それを同時に地図に反映させることがとても困難であるということでした。Nickはその問題も解決しました。ただし、これは正確な意味では「ライブビュー」ではなく、2014年5月25日時点でのセーフキャストのデータを用いて作成されています。ですから、5月25日以降に追加された新しいデータは含まれていません。このウェブマップは定期的に更新することはありませんが、現状から効率的に随時更新することになるでしょう。これは、2013年の初めにマップを作って以来の飛躍的な進歩です。

念のために。セーフキャストのiOSアプリ(無料ソフト)では、4時間前までのデータを読み込んでいますので、こちらでは常時最新のマップを見ることができます。
翻訳:Kohei Watanabe…

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46カ国突破!

In ニュース, マップ by sean

セーフキャストのライオネルは、セーフキャストがどのように地球をカバーしているのかを追跡し、私たちがどこに行ったのか、どこに行っていないのかを簡単に見れる地図を作成しました。
この地図では46番目の国にイラク、47番目にインドネシアのデータを追加した後に生まれました。そしてインドネシアを追加した数時間後には既に使用が可能になり、こんなに早く、世界のこのプロジェクトの広がりを見ることが出来たことを、とても嬉しく思い、興奮しております。
次は目標50カ国以上。次はどの国にしましょうか?
 

20140313_map

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セーフキャスト 3周年イベント

In Events, ニュース by sean

セーフキャスト設立のきっかけとなった、東北地方太平洋沖地震と津波そして福島第一原発のメルトダウンから3年をしのび、3/15(土)、16(日)に、イベントを開催します。2日間のプログラムは、議論と実践的なイベントとなります。15日(土)には東京大学で「これからの3年間」というこれまで起きたことを見つめ直し、未来に向かって期待できることについてのディスカッションを予定しています。プログラムと哲学と同様に、ポリシーや活動について議論する予定です。質疑応答とあわせ個別の講演(講演者リストはまもなく発表します。)を含んでいます。これらのイベントはライブ中継したいと考えています。15日は東京大学でのレセプションで終了予定です。

15日の夕方より16日の夕方まで、セーフキャストのウェブサイトに関するグローバルハッカソンを実施します。これは、皆さんの協力をお願いする機会となる膨大なプロジェクトです。コピーライター、翻訳者、デザイナー、開発者など多くの方を歓迎します。もし、ご興味ありましたら、さらなる詳細についてハッカソンのメーリングリストにご参加ください。実際に、サイトを見てセクション毎に再考していきます。そして、改善がみられるよう、APIや地図についても見ていきます。世界中の人々から私達が直面している課題に立ち向かうのを遠隔で助けてもらえるよう招待していますが、16日はハックするために道玄坂のオフィス(1FがFabCafe、ロフトワーク)にて実際にお会いしましょう。その日はいくつかの大きな改善を行って終了したいと思っております。

両日ともイベントは一般に公開されています。

「フクシマ ~ これからの3年間:現状と展望について」

セミナー開催日:2014年3月15日

時間:午後1時 – 5時まで

場所:東京大学駒場キャンパス 総合研究実験棟(An棟) 2階コンベンションホール

http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_04_09_j.html

このイベントは USTREAMで生中継されます。

USTREAM専用リンクはこちら:

USTREAM http://www.ustream.tv/channel/safecast-live/

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プログラム予定表

12:30 開場

13:00 セーフキャスト-これからの3年間:

『開幕のあいさつ』
伊藤穣一(セーフキャスト共同創設者、MITメディアラボ研究所長)

『セーフキャスト~現状と今後の展望』
ショーン・ボナー(セーフキャスト)
ピーター・フランケン(セーフキャスト)
カリン・コズハロフ (セーフキャスト)

続いて『質疑応答』

14:00 海洋生物、食品、人体への放射能汚染状況について

『クラウドソースによる新しい海洋生物の放射能汚染研究について』
ケン・ブッセラー(ウッズホール海洋研究所)

『安全な食品の未来について』…

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1500万データ測定点とデモクラシー・ナウ

In ニュース by sean

今日、セーフキャストのデータベースで1500万データ測定値を超えたことで、私たちは新たなデータマイルストーンを突破しました。私たちが初めて 100万データを記録したのが2011年10月で、1000万点を達成したのは2013年6月でした。少なからず、新たにbガイギー・ナノ の所有者が増えたおかげでもあり、皆さまのご協力に大変感謝しています。今日私たちは初めてオーストラリアからのデータを追加しました。

また、Amy GoodmanとDemocracy Now が東京を訪れ、Pieter Frankenと セーフキャストのこちらの内容について情報交換を行い、本日放送されました。

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カリフォルニアビーチにおける放射線量

In ニュース, 放射線, 測定 by sean

[2014年3月に更新:CDPH(カリフォルニア州公衆衛生局)は、自ら研究を行い、下記のようにセーフキャストの調査結果を確認しています。その調査結果の報告書はここで見ることができます]

今年12月、YouTubeに「福島の放射線がサンフランシスコを襲う!(2013年12月)」という衝撃的なタイトルの動画が投稿されました。

現在までに、その動画は約50万回以上閲覧され、無数の記事がその動画を証拠や情報ソースとして書かれています。しかし、動画で述べられた主張は正しくありません。
カリフォルニアのビーチが放射性ではないというのではなく、実際にはそうなのですが、これはカリフォルニアでは50年以上にわたって記録されている自然現象なのであり、これは関心さえあれば誰でも容易にグーグルなどの検索で見つけることのできる事実なのです。残念ながら、その動画のクリエイターや、その話題を面白がるメディアは、少しの時間を割いて調査をすることに、それほど関心を示さないようです。

2008年、Redenkovic氏らによる論文「いくつかの名高い公共ビーチの砂浜の放射線と付随する環境リスクの評価(未翻訳)」には、高い濃度のラジウム226、トリウム232、カリウム40がロサンゼルス地区の浜辺で発見されたとセルビアの化学会誌に掲載されています(表1参照)。
さらに1959年にまで話を戻すと、自然放射性鉱物による海岸堆積物の運動の透写図(未翻訳)は、バークレーのKamel氏とJohnson氏による報告書であり、その報告書には「この放射性トリウムは、トリウムを豊富に含む花崗岩を流れる河川の水が海岸に到達したり、トリウムの豊富な花崗岩そのものが海岸で露出していて、海岸沿いの別々の場所で自然と増えたのだ」と述べています。

これらのビーチは、近接する周辺地域よりも放射能レベルが高いのは当然であろうという情報は容易に入手できるので、外的要因や外的影響に関するいくつかの主張は、まずこれらの文書化された放射性同位元素(ラジオアイソトープ)情報を排除しているのでしょう。インターナショナル・メドコム社(同社のインスペクターが動画内で登場している)の最高経営責任者であり、「真実に取り憑かれた者」と自称するダン・サイス(Dan Sythe)氏は、これらの報告書について関心を持ち、すぐさま、この高い数値の原因を特定するために、動画が作成されたハーフムーンベイのビーチから土壌サンプルを検出しました。サイス氏が見つけだした SAM 940「マルチチャンネルアナライザー」を使用することによって、ラジウム226とトリウム232というNORM(天然起源放射性物質)が含まれている砂を発見しました。それは、過去に発表された関連の論文から予測していたことでした。Hサイス氏は、福島からの汚染を示すいかなるセシウムも発見しませんでした。彼は、カリフォルニアビーチの放射線は福島からではない というタイトルの投稿を、ガイガーカウンターブルテン(Geiger Counter Bulletin)にしました。実際の測定写真は、以下の通りになります。


ハーフムーンベイのビーチの砂、
ラジウム226とトリウム232のレベルを表示。

福島のビーチの砂、
セシウム137のレベルを表示。

 

カリフォルニア周辺の通常の環境放射線はだいたい30〜60CPMの間であり、測定はそれ以上の200CPMのハーフムーンベイや西海岸沿いの他のスポットでも行われました。それでも、この線量は、人が標準的な民間航空飛行機の飛行時間にさらされる数値、800CPMよりも、はるかに少ないものです。200CPMという数値は、花崗岩のカウンター甲板やレンガが露出した建物から測定されているのだろうという、予測範囲内の数値です。

ですから、実際の科学では、福島から検出可能な数値の放射線がカリフォルニアビーチへ到達するなどという話はただちに誤りであると証明できます。しかし、ひとつの重要な特徴として、多くの既存の科学的モデル は、検出可能な数値は今後数年間でこのカリフォルニアの海岸に到達するだろうという証拠を示しており、そのトピックこそ、私たちが今後の取り組んでいくものです。

また、このビデオに登場した、このことが多くの人に多大なストレスを与えたという点にも議論の余地があります。この動画は実際に、数値がビーチで上昇し、水位線に向かって減少していることを示しています。つまり、これは水そのものが数値の原因ではないことを示しているにもかかわらず、ガイガーカウンターを水に近づけて持っていくと数値が上がり続けるようになっています。加えて、その数値の原因は空気ではありません。なぜなら、そのような状況であれば、その周辺一体のエリアは高い数値であるはずです。 ビーチ、車道、歩道の全てにおいて高い数値がでるはずです。上昇する測定値が特定の領域に限定されているということはとても明確ですので、その原因が表面上あるいは下に存在しているという証拠になります。

この件についてレポートするため、セーフキャストのチームは…

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FAQ: 日本の食品汚染について

In 放射線 by sean

セーフキャストでは日本に渡航するという人達から、福島(原発)からの汚染で日本の食べ物は安全なのか、という問い合わせを頻繁に受けます。そこで、ここで我々の返答を掲載しておくのが有益なのではないかという考えに至りました。

明確にしておきたいことがあります。それは、どこに住んでいようとも、誰しもに汚染していない食品を選択する権利があるのだということです。セシウムや他の汚染物質が含まれていない食品の供給が完全に安全であるということ、そして、保護システムがしっかりと働き、市民を支えてこその正当性だといえるでしょう。これはしっかりとした食品検査システムを持つ第三者機関が十分に見張りとして機能し、政府が発表したことを自由かつオープンに情報照合をしているということを意味します。が、残念なことに、実のところまだ日本では実現されていません。おそらく、他のどこでもまだ行われていないでしょう。

セーフキャストでは独自の食料測定器はまだ備えていませんが、いくつかの独立した食品検査の研究所と協力したり、公式あるは非公式に発表されている結果を定期的にモニタリングしています。どれくらいの頻度で、誰によって、どのように食品が検査されているかについて、混乱状態です。これは主にもともと食品検査システムが、生産者や地方の農業関係の役人達にガイダンスを配布するなどいった、公に情報を開示することを目的とされていなかったためだと思われます。ですので、測定結果が何百ページにも及ぶわかりにくいデータとなってしまっているのです。

にもかかわらず、この計測システムは市場に出回っている食品の汚染量を法的許容レベルである1キログラムあたり100ベクレル以下に抑えるのには効果的のようです。「効果的」と言っているわけであって、決して「完璧」と言っているわけではありません。そして、1キログラムあたり100ベクレルのレベルは世界で最も厳しいものです。もっと厳しくあるべきだと主張する人もいるくらいです。その土地の食品を食べるかどうかはに、この1キロあたり100ベクレル以下というのがひとつの基準になり得るでしょう。

私たちの多くが日本の食品検査システムがもっと一般に対してわかりやすく改善されることを望んでいます。そして、人々も食品汚染の問題は何十年にもわたって私たちと共にあるのだということを理解すべきだと考え、常に注意し準備すべきです。単に今が大丈夫だからといって、永遠に大丈夫というわけではないのですから。

日本で消費される食品の多くは海外から輸入されているという点で、ある意味幸運です。一方で福島の家族は地元で生産された食品だけを食べていると考えられています。実際に地産食品を消費している人達はほんの一握りです。これは汚染の影響下にある人を限定できる効果があります。 コープふくしまによって独自に行われた調査では、福島の家族が実際に何を食べているのかが調べられました。調査は2011年の終わりに始まり、300世帯の内ほとんどが実際に食事の中でセシウムが見つかりました。発見された数値は10ベクレルかそれ以下という低い値でした。K40(自然放射線であるカリウム)のレベルはもっと高くなります。日本人の食事には相当高い量の自然放射線であるポロニアム210がしばしば貝類や他の海産物から見つかっています。これらの小型生物からの放射線量は(福島原発事故で飛散された)セシウムよりもずっと高いレベルです。

最も注意深く行っている独立系及び政府系の食品テスト、内部被ばくのスクリーニング、実際の食事のテストはすべて実際のセシウムや他の放射性物質による汚染量を結論付けることを強化しました。それは、供給される食品は恐れられていたよりもずっと低い汚染レベルであったということです。土壌は除染されており、さらに食品検査も行われ、世間の注意喚起もこれに貢献しました。今でも汚染された農作物が収穫されることも時々はありますが、内部被ばくのスクリーニングの結果は、まだ測定されていないセシウムがあるという意味で100%ではなく、改善の余地があります。

技術的な点について:

体内にセシウムが残る期間は約70日(子どもはさらに短い)です。そして体は定期的な間隔で体外に排出します。もしセシウムを一度吸収したならば、例えば、半分は70日で排出されます。そして最終的にはすべてが自然の過程で除外されていきます。とはいえ、体内に残っている間はセシウムの効果はあるわけですが。通常の摂取では、体内に摂取する量と排出する量が一定のペースになり、最終的にプラトー(=水平域)に達します。これは摂取を止めるまで続きます。

例えば、1キロあたり100ベクレルのセシウムを含む魚を食べたとしましょう。一般的に言って、人が一日に魚を1キロも食べることはまずありませんが、ここでは仮定とします。10歳の子どもが毎日100ベクレルを食べ続けたら、彼らの一年後の体内のセシウムのプラトーは約5200ベクレルです。大人の場合だと1万4000ベクレルになります。1歳児の場合は2000ベクレルです。
ここから1歳児に影響のある放射線量は年間0.08ミリシーベルトで、他の年齢グループでは比例して(しかし直線的ではありません)高くなります。この放射線量の計算は、内部被ばくからより大きな影響を受け、子どもの年齢によって新陳代謝が大人のものとは異なります。現在の日本のガイドラインは年間の総摂取量を1ミリシーベルト以下に定めています。これが世界的な基準に近いものです。

現行の日本のガイドラインは、食品から年間1ミリシーベルト以下を保つように記されています。私たちが考えるには、出来る限り多くの人が、完璧とはいえないまでも十分に守られるべきものです。上記の1才児の年間0.08ミリシーベルトは年間1ミリシーベルトの100分の1以下です。これでも十分に低い設定ではないという人もいるでしょう。そしてその考えは当然考慮に値するものです。特に独立の検査機関が十分でないことからも、このような懸念を無視はできません。

もし福島の家族が、1キロあたり11.7ベクレルのセシウムが検出された食事を毎日食べたとしましょう。大人の場合、年間0.14ミリシーベルトの総摂取量となり、子どもの場合はそれ以下です。

ここにさらに具体的な例があります。70歳の南相馬の男性は、事故から140日後に内部被ばくが見つかりました。セシウム137と134、合わせて2万ベクレルが発見されました。彼の体重は67キロで、彼のセシウムの「身体負荷量」は1キロ当たり約300ベクレルでした。これは福島でこれまでに検出された数値で最も高いものです。医師はその男性の食料庫を確認し、彼が汚染されたシイタケや野生の野菜など、市場でチェック機能が果たされていないものを定期的に食べていたことをつきとめました(1キロあたり14万2000ベクレル以上)。彼が食べていた品目のいくつかは、シダ類や栗などキロ当たり500~1000ベクレルにもなるものでした。彼は一日に140ベクレルのセシウム137と134を摂取していました。彼の1年間の有効量は0.8ミリシーベルトで、年間1ミリシーベルト以下のレベルです。医師は彼に品目を食べるのをやめるよう注意しまし、彼は言われた通りにしました。その結果、予測されていたように生物学的半減期により、彼の体の負担は減りました。

比較をすると、東京からアメリカ間の北側ルートの飛行機に12時間乗ると、片道で0.04ミリシーベルトの被ばくとなります。ですから、往復で0.08ミリシーベルトの被ばくとなります。これは1歳児が一年間、毎日100ベクレルを摂取しているのと同じ量になります。この手の比較を難しくする変数は多くあります。そして多くは年齢にもよります。しかし、内部被ばくが標準指数よりも何倍も損傷させると仮定して、人一人は、飛行機旅行で受ける放射線の被害と同等にするためには、セシウム含有量の多い食べ物をたくさん食べる必要があります。しかし、前述のように、汚染食品の問題は何年にもわたって記録される必要がありますし、通常、飛行機搭乗は個人の選択です。市場における食品汚染はそうではなく、強いられたものですから、もちろん、油断しないよう、注意し続ける必要があります。しかし、同時に我々は秩序だってリスクを考えるのがベストだと考えています。

上記で言いましたが、これは科学についてだけではなく、政府が社会に対して食品中に何が含まれているのか、適切な情報提供を約束してこなかったゆえに起こった問題でもあります。空の旅を選択するかどうかは私たちの選択ですが、供給される汚染食品は私たちには選べません。汚染食品の問題は今後何年にもわたって監視される必要があるでしょう。もちろん、情報は用心深く提供され続けるべきです。同時に、我々はリスクに注意を払い続けることが大切だと考えます。