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SAFECASTがグッドデザイン賞受賞パーティ及びbGeigie Nano(ビーガイギーナノ) ワークショップを開催

In ニュース by naozumi

このたび、セーフキャストは、2013年グッドデザイン賞(主催:公益財団法人)を「公共のためのサービス・システム」の部門で受賞しました。

http://www.g-mark.org/award/describe/40575

セーフキャストは、東日本大震災およびそれに伴う福島第一原発事故が発生して以来、人々が入手できる量異常のデータを入手できるよう、慶應義塾大学やMITメディアラボらの研究機関や企業、地方自治体などと協働し、警戒区域周辺を含む日本全国に配置された固定センサーおよび移動センサーからなる放射線センサーネットワークを世界中で構築してきました。今日までに、1300万点以上のデータポイントが集まっています。

http://www.safecast.org/ja

今回の受賞を記念して、10月19日(土)、ロフトワーク10階で、SAFECASTが開発した最新版の移動式放射線測定器 bGeigie Nano(ビーガイギーナノ)の組立ワークショップ、その後に、受賞の感謝会(パーティー)を開きます。是非、ご参加ください。(要予約)

【スケジュール】

10時 開場

10時30分 ワークショップ 開始

17時 ワークショップ 終了

18時―21時 パーティー

参加費:ワークショップ 45,000円(Nano kit代)、パーティ1000円

前回のワークショップの様子はセーフキャストのブログにも出ています。

https://safecast.jp/ja/2013/06/safecast-workshop-bgeigie-nano-in-aizu/

お問い合わせ先: Contact:

SAFECAST 広報担当:田中響子  Email:kiki@safecast.org

今年6月に会津で行ったbGeigie Nanoのワークショップの様子

みんなで完成後の記念撮影

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会津若松でのワークショップ 2013年6月15日~16日

In ニュース by naozumi

文:norio watanabe
セーフキャスト 郡山ボランティア

b-Geigie-nano

初夏の曇り空の会津若松にSafecastのメンバーとボランティアが集結して、bGeigie Nanoの組立ワークショップが開催されました。会場はIT企業のEyes JAPAN、山寺社長の会社を会場に提供していただきました。ありがとうございます。

会津若松市内 Eyes JAPANにて

福島県の放射線マップは2011年にsafecastの手により自動車による第1回目の測定はほぼ完了し、Safecast.orgのサイトにマップが公開されています。現在までに1000万ポイントのデータが集積され、日々、更新されています。またボランティアの方々の協力により、自転車や徒歩による自動車の入れない箇所の測定も行われており、放射線マップが綿密になりつつあります。
今回のbGeigie Nanoは、小型軽量で操作も初期のb-Geigieに比べて段違いに簡単になりました。測定モードと、記録モードがあり、測定モードではケースからbGeigie Nanoを取り出し、表面汚染をベクレル/平方mでも換算表示できるようになりました。記録モードではCPM単位をベースにGPSの位置情報と時刻、測定者(bGeigie Nanoには個体ごとに所持者の名前が記録されています)が、microSDカードに記録され、Safecastのサイトにアップロードするとデータの共有とデータのマップ表示が可能になります。
組立は半田ごての経験があれば比較的簡単に製作が可能です。(老眼の私にはルーペなどがないときつい箇所も一部あります)部品の大半は市販のシールドという回路として提供されているので、ICなどの線蜜は半田づけの作業はなく、抵抗、コンデンサ、トランジスタ、スイッチ類、コネクタ類、配線の半田付けだけです。(たまに、部品が間違っている場合がありますが、そこはキット化されていますから愛嬌と思って、近くの部品屋さんに部品を購入にいくことも楽しみの一つ。もしくは、製作したことのあるSafecastのメンバーかボランティアの人に相談するのもコミュニケーションの楽しみにもなります。)
製作は慣れれば1時間ほどです。初心者は指導を受けながらだと半日でしょうか。完成品として市販はしていませんからbGeigie Nanoは組立ながら構造を理解する楽しみがあります。その分、性能のわりに安価で提供されています。…

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異業種へセーフキャストの取り組みを紹介 - 日本医療政策機構 クロス・ディスカッション

In ニュース by naozumi

3月14日、日本医療政策機構主催の『他領域と医療のCross Discussion シリーズ』として、SAFECASTの取り組みをディレクターである、ピーター・フランケンが講演しました。
東京駅近くのカフェを会場にした朝8時スタートのイベントに、日本医療政策機構代表理事の黒川清先生をはじめ、大学生や出勤前の会社員等数多くの方々がピーターの話を聞きに集まりました。

Health and Global Policy 1

ピーターは、当初、測定デバイスがなく自分たちでデバイスを作ることにしたことや、国や放送局が測定データに著作権をもっていてデータを活用出来ないといった、苦労話を交えながら、今日までのSAFECASTの取り組みについて語りました。
作成したデバイス用いてボランティアや協力してくださる方々に放射線量を測定してもらい500万箇所を超える測定データを収集できており、今なお測定データが増えています。また、収集したデータをCC0(クリエイティブ・コモンズ)のパブリック・ドメインの下、インターネット上で公開し誰もがアクセスできるようにしているのも特長のひとつです。世界で唯一成功し運営されている放射線センサーネットワーク構築のリアルな経験談に、参加者達は熱心にメモを取りながら耳を傾けていました。

また、今後の取り組みのひとつとして、放射線測定と同様に、大気の品質測定にも取り組み始めていることにも触れました。講演会前の日曜日、東京をはじめ関東地方の一部では煙霧(乾いた微粒子により視程が10km未満となっている状態)が発生したこと、また、海外でのPM2.5による大気汚染報道等により、出席者の中でも放射線以外の環境データについての関心も高かったようです。

質疑応答において、SAFECASTの経験から、プロジェクトの進め方へのアドバイスを求められた際、ピーターの「考えているばかりでなく、方向性を決めて行動をおこすこと。修正などはあるかもしれないが、まず、行動をおこすことが大事」という言葉は、参加者の心に強く残ったのではないでしょうか。

Health and Global Policy 2

今後も、ひとりでも多くの方々にSAFECASTの活動を知っていただけるよう、様々な機会を通じて情報発信していきたいと思います。

新井利幸…

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新しく秩父にセーフキャスターが加わりました

In ニュース, 測定 by naozumi


このたび、セーフキャストに新しく、秩父の方々が加わりました。
(左から立野さん、関根さん、野口さん)

秩父は山に囲まれたとても美しいところです。冬の間は雪をかぶった山々が連なっています。個人的にはちょっと長野を思わせられるとても素敵なところです。

しかし、秩父の山々にも3.11後の福島原発事故で多くのセシウムが降りそそいだそうです。その実態を早く把握したいと、セーフキャストに連絡が入りました。秩父はまだセーフキャストが計測をしていない領域です。

彼らは『放射能からみんなの健康といのちをまもる秩父の会』の方々です。定年退職した先生らが集まって、食品の測定もしています。食品測定器はアドフューテック社のATOMTEX。1台160万円もするこの機械はドネーションで購入し、食品測定を希望する人には、1検体1000円で受け付けています。1検体にかかる検査時間は約30分、放射能測定濃度7ベクレル(キロ)以上が計測できます。

昨年7月にこの機械を導入して以来、同会で測定し、測定値の高かったものは、ニュースレターで紹介されています。
http://www.saitama-np.co.jp/news10/24/02.html

ちなみに、これまでに多いのは、シイタケ、キノコ類です。チェルノブイリでもそうですが、特に野生のキノコ類は高く出ています。

同会の計測値の一例を挙げると

生シイタケ 秩父市内 2012年12月 209.5 ベクレル/kg
野生キノコ(タマゴダケ) 横瀬町 2012年10月 367 ベクレル/kg
野生キノコ(一本シメジ) 秩父市内 2012年10月 223 ベクレル/kg
野生キノコ(赤モミタケ) 両神村 2012年10月 219 ベクレル/kg

 

また、同会では、家屋など建物の雨どいの土も計測しています。雨どいの中の土には大変高く、最高で11万9700ベクレル(1キロ当たり)が測定されています。

秩父方面では、鹿や猪など、野生動物の肉を食する習慣もあるようです。数値はシイタケやキノコほど高くはありませんが、野生の動物も汚染されていることが数値からわかります。


食品測定ができる「みんなの測定所」

同会は、講演会や学集会など、集めた情報を地元の人達と共有したり、近隣の団体と提携して活動を行うなど、放射線情報について積極的に発信しています。

秩父のメンバーは定年退職した先生を中心に運営されています。理系の先生方だけに、放射線の知識は十分お持ちです。

これから、セーフキャストの地図に秩父方面のデータがどんどん反映されていくことでしょう。

セーフキャスト・ボランティア
キキ…

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私の現状(福島県KSさんからの寄稿)

In ニュース by naozumi

曖昧な安全宣言からの不安
 311直後の原発爆発事故の家族全員のショックはかなり大きいものでした。
 震災の影響で電話のつながらない状態で、単身赴任中の父から突然電話があり、「子供と嫁を連れて直ぐに逃げろ!」と言われたとき、私は意味が分かりませんでした。国が安全だと言っているのに、なぜ逃げなければならないのだろうか?と思っていたからです。

 大人になってから、父に怒鳴られたことなどないのに、久々に激論をしながら「地図を見ろ!」と言われ見てみると、原発と自宅の直線距離が予想以上に近いことが分かりました。小さい頃に家族旅行で行った時は、あんなに遠く感じられたのに、今はすぐそこに原発があるではないか!と思いました。

 しかし、逃げるためには母や祖父母も一緒でなければ納得がいきませんでした。同じ家族なのですから当然です。現実的にはそれは無理で、祖父母はどちらも85歳を過ぎていたため介護が必要で、例え避難したとしても体調を崩してしまう恐れがあったため、母と一緒に残るしかないという悲しい決断しか残されていませんでした。そんな会話の中で、私は人生で初めて祖母の涙を目にしました。逃げたくても逃げれない現実を目の当たりにし、自分の無力さを改めて感じながら、家族全員で目に涙を浮かべて避難準備をしました。

 母は「私たちは十分生きてきたから、悔いは残らない。あんた達、若い人たちがこの先健康で長生きすることが励みになる。息子よ、嫁と子供は死んでも守りなさい!」と言って笑顔で見送ってくれました。車を発進させた直後に、バックミラー越しにあふれる涙を流しながら私たちを見送る母の姿が見えたときの悲しみは今でも忘れません。

 新しい町のアパートに到着後、車のトランクを開けると実家に救援物資で私が持っていった食料の他に、残り少ない実家の食料も積まれていました。母が積んでくれていたのでした。

 このような非現実的なことが、避難区域以外の場所でも起きていたことを少しでも多くの人々に知っていただきたいと思い、ブログに書く決心をしました。

健康の変化と周囲の人達の様子
 原発災害後、約3週間近くして家族に異変が起きました、低血圧で悩んでいた祖母が高血圧による脳梗塞で倒れ、家庭菜園の汚染された茎立ち菜を頑固に食べ続けた祖父が激しい下痢で急激に痩せてしまい、母はまるで声変わりしたようにガラガラ声になってしまったのです。私は専門家ではないため、被曝が直接的な原因なのかは分かりませんが、今まで病気になどならなかった家族が突然、体に変調が起こることが信じられませんでした。私自身も原発爆発から約1ヶ月間は体がだるく、ボーっとするような日々が続きました。

 引っ越ししてしばらくした後、ようやく体調も回復しいろいろ考えられるようになると、身の回りの放射線が気になるようになりました。

 やっとの思いで購入した放射線測定器で実家の放射線量を測定してみると、場所によっては毎時1.2~45.0マイクロシーベルトを超える場所が屋外で発見され、放射線が検知管に当たると同時に、スピーカーから出てくる音も絶え間ない連続音でした。このような状態にも関わらず、近所の生活風景はいつもと変わらない平和なものでした。

 余震は相変わらず続き、心配された食料も少しずつ回復するかたわら、おびただしい放射線が体に当たり続けていることは、普通の人には全く分からないというのが、現状でした。

 さらには、詳しい現状も分からずに個人的に安全宣言をしてしまう方々も続出し、私の父もその一人となりました。

 そんな中、避難してしまった自分に何ができるかを考えていた際、たまたまセーフキャスト(Safecast)の存在をテレビで放送しているのを見て自分も手伝いたいと考えました。

ライフスタイルの崩壊
 3月12日の原発爆発事故から私の家族の絆は強まった一方、ライフスタイルは完全に崩壊してしましました。

 私の家族は毎年、家庭菜園でいろいろな野菜を育て、収穫時期には全員で収穫祭を行い、とれた野菜でバーベキューや豚汁会など様々な年間行事を行ってきました。友人知人には毎年収穫した新鮮な野菜を宅急便で送り、感謝されることが父と私の喜びでした。しかし、今年は長年続けた家庭菜園を中止せざるを得ませんでした。なぜなら、Safecastからお借りしたカウンターを畑の土に近づけると、アナログテレビの砂嵐のように連続音が聞こえ、たくさんの放射性物質が降り注いでしまったことが分かったからです。父はこの音を耳にしたあと、畑に植えた野菜を無言でむしっていました。

 後に、なぜ今年は野菜を作らないのか?と父に尋ねると、個人野菜の測定はできないと断られたうえ、安全かどうか分からない野菜を作って孫や家族に食べさせることは耐えられないことだと、辛い胸の内を明かしてくれました。また、仮に作ってしまうと、愛着があるゆえにきっと人に譲ったり、自分でも食べてしまうかもしれないので、始めから作らない方が皆を大切にできる、最善の方法だとも話していました。

 度々実家へ帰り日々成長する子供の姿を見せに行く機会も減り、やっと歩き始めた我が子が実家の庭で走り回ることもできなくなりました。

 昨年から作り始めて、やっとの思いで父と作成させた、大きなウッドデッキと砂場が無残にも我が家のホットスポット(9600cpm)になってしまいました。私たち家族は自分の家にいながら、外の世界を全て失ってしまったのです。

悲しいSafecastの測定
 bガイギー(bGeigie:お弁当箱に入った放射線測定器)をSafecasstの方からお借りして簡単な説明を聞いた後、すぐに測定ができるようになりました。測定方法はとても簡単で、自分の車側面に測定器を取り付け、スイッチを入れてひたすら走るというもので、測定が終わったらメールでデータを送信します。

 初めのうちは、目新しい測定器が珍しく思えたため、周囲の状態があまり見えませんでしたが、だんだんと慣れてきた頃に普段と変わらぬ風景に違和感を覚えるようになりました。

 なぜなら、自前で購入した放射線測定器の警告アラームが車内でカリカリ、ピリピリと激しく鳴っているすぐ目の前で、子供たちは地面に座り釣りを楽しみ、小学生が鬼ごっこをしながら側溝の中をジャブジャブ走り、幼い子供が母と散歩を楽しんでいるのです。

 私にはその場所が危険であるかどうかは分かりませんでしたが、後からSafecastの測定マップを見ると赤や茶色の場所でした。(注:赤や茶色になるほど線量が高くなる。)私はその時、放射性物質がたくさん降ってきたことは、普通に暮らす一般人は知らない世界なのだと思わされ、とても悲しい気持ちになると同時に何も解決できない自分自身に憤りを感じました。

 決してかっこいいわけではありませんが、私たちの地道な測定アクションこそが今後の子供たちに対する明るい未来につながっていくのではないかといつも信じています。