SAFECAST 10周年記念イベント 2021年3月13日(土)
本年は2011年3月11日の福島原発事故から10年目であると同時に、SAFECAST設立から10周年を迎えます。この節目を機に、SAFECASTは2021年3月13日および14日に過去10年間でのプロジェクトの活動を振り返り、福島の最新情報を提供するとともに、オープンデータの重要性、新たな挑戦および過去10年間の経験で得られた学びについて発信するオンラインイベントの開催を計画しています。
このイベントはSAFECAST…
SAFECAST 10周年記念イベント 2021年3月13日(土)
本年は2011年3月11日の福島原発事故から10年目であると同時に、SAFECAST設立から10周年を迎えます。この節目を機に、SAFECASTは2021年3月13日および14日に過去10年間でのプロジェクトの活動を振り返り、福島の最新情報を提供するとともに、オープンデータの重要性、新たな挑戦および過去10年間の経験で得られた学びについて発信するオンラインイベントの開催を計画しています。
このイベントはSAFECAST…
2020年4月28日、アズビー・ブラウンによって公開
以前の記事(こちらとこちら)で、COVID-19の検査に関して日本で実際に決められている方針を整理しようと試みました。私たちはデータに一貫性がなく他の公式データにも問題があり、実際に検査が行われた数と感染の可能性がある人数を一般の人がうまく把握できなくなっていることを指摘しました。このデータ問題について私たちが記事を公開してから4週間が経ちました。4週間前の当時は、20,340件の検査が日本で報告され、全国で1214名が陽性、そのうち東京都の陽性患者が171名でした。国内の新しい陽性患者数は1日100名以下でした。(この記事を書く)現在では、一番最近のデータによれば、150,692名の方が検査を行い、国内で13,448名の方が陽性、そのうち東京都だけで3,908名となっています。新規に陽性判定された人数は1日平均で現在約400名ですが、最高値は4月11日に記録され、700名の方が陽性判定されました。
これらの数値は、もちろん、2月から3月にかけての明らかな感染の増加を示しており、日本はすでにコロナウイルスを「克服」したと主張する声を抑えたに違いありません。当時、感染者の増加割合は大きく、医療機関も過剰負荷に対する混乱のサインを既に示していましたが、我が国では、指数関数的に患者数が増えるフェーズにはまだ到達していなかったように見えます。私達が何度も指摘しているように、日本では症状の発生している方々さえ検査を受けるのは非常に困難です。私たちはこの問題に皆さんが非常に感心を持たれていると気づいたので、自分達で感染に関する実態を報告できるオンラインマップを作成しました。検査が行われた人口比率(約0.008%)を調べた通り、少数の検査しか行われていないことを考えると、より大規模な感染拡大についてどれだけ早く知ることが出来るのでしょうか。私たちは3月にしたのと同じ質問をしなくてはいけません。意図的に検査を絞る現状の「クラスター対策」のアプローチで見落としている感染者はどれくらいいるのでしょうか。特に無症候または発症前(そして現状のガイドラインでは検査対象外とされる人)の方を中心に、もっと多くのCOVID-19陽性の人達がいるにも関わらず、彼らが特定されず速やかに隔離されず、ウイルスの感染拡大を抑えられない場合、どれだけ危険な状況になりそうでしょうか。
英国キングスカレッジのPopulation Health研究所長を務める渋谷健司教授(以下、渋谷氏)が先週、東京の外国人記者クラブ(FCCJ)向けにオンラインの記者発表を行ないましたが、公開データを踏まえて考えを述べ、気がかりな地域を明らかにしました。私達が先述した通り、渋谷氏は「クラスター対策」のアプローチのみに委ねることのリスクについて警鐘を鳴らしており、日本でさらに検査数が急増する危険があると警告しました。皆さんには、彼の記者発表ビデオをご覧いただきたいと思います。具体的には、多くの理由を元に、日本の実際の感染者数は、公的機関を介して発表されている現在の人数の少なくとも10倍はいるだろうと渋谷氏は試算しました。翌日、厚生労働省の主要メンバーの一人である北海道大学の西浦博教授(以下、西浦氏)は、東京で記者会見を行い、渋谷氏の試算と同じ見解を示し、実際は10倍以上かも知れないと付け加えました。同時に、西浦氏は、データは現在、全国の感染者は減少傾向を示していることを何度か繰り返し述べました。直近のグラフデータも同様の傾向を示しているようです。
22020年4月27日付の日本全国の感染者件数(参照:https://covid19japan.com/)
2020年4月27日付の東京都内のCOVID-19感染者データ
(参照:https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/en/)
渋谷氏が彼の記者発表で指摘したように、日本政府の資料から報告された件数を見る際には注意しなければいけない点が沢山あります。いくつかの理由から、確認できるデータを元にしっかりとした疫学的な結論を導くことは難しいはずだと渋谷氏は考えています。COVID-19に感染してから、重症化し、日本の厳しいPCR検査の基準を満たすまでには約2週間かかることが非常に重要で、理解しなくてはいけません。私達が目にする一日の陽性患者数は、数週間の間にすでに存在していた感染者をデータを編集した日時に報告しているに過ぎません。これらの件数は、時差のある指標であり、2週間前の感染拡大のごく狭い一部を捉えたものです。渋谷氏によれば、仮に、特に発症前、無症候の感染者に対して、さらに広範囲に検査の実施を行えるなら、最新の感染拡大の全体像をより捉えることが出来るだろうとのことです。
もう1つ注意しなくてはいけない点としては、報告の遅れとデータの一貫性の無さから、民間の研究所で実施された検査結果が完全には公開されていないということです。例えば、東京都が提供する二か国語対応のwebサイトは、公に行われている取り組みの中でも良いものの1つですが、公的機関の報告は毎日更新しているのに対して、民間の研究所からのデータは毎週金曜日に週ごとのデータが更新されるだけになっています。その結果、サイトに公開されている感染者数が、毎週金曜日に不思議な増え方を見せています。似たような増え方が検査数の合計グラフにも影響しています。これに関する説明は東京都のwebサイトのどこにも明らかになっていません。
日本の検査システム、感染者報告システムのほとんどは自動化あるいは完全なオンライン化がなされていません。信じられないことですが、全てのデータはまだファックスで送られており、手入力で転記し、編集しなければなりません。このことが不要な遅延を招き、データ入力エラーの可能性を高めています。非効率なデータ編集プロセスや、実際にデータのカテゴリーが表しているものが元の印象に対して違うこと、そして、報告されている検査数が引き続き一致しないことを考えると、これらの数値のみに基づいて実際に何が起きているのか評価することは難しいのです。最も気がかりなことは、このデータがどれも一般利用が出来ないので、外部の研究者が独自に検証し、複製し、評価する方法が無いことです。渋谷氏は、国立感染症研究所(NIID)からCOVID-19に関するデータを取得し、分析しようと試みた経験について語りましたが、特に彼の立場と評判であれば、非常に簡潔なプロセスであったに違いありません。渋谷氏は特定の申請書類を記入する必要があり、申請プロセスは数ヶ月かかると言われたそうです。国立感染症研究所(NIID)が持っている背景データにアクセス出来ない限り、私たちは一般利用のデータからはほとんど何も述べることが出来ません。
(イタリア)ロンバルディア州からの大規模なイタリア人データサンプルに基づく最近の研究によれば、現地で見られたCOVID-19の感染の43%は無症候感染から由来するものでした。さらに、新規の感染のほとんどはロックダウンの前に発生し、同じ家庭内の無症候感染に由来していました。他の研究は、人口内に無症候感染者が優勢であることに関する似たような結論に至りました。最近の日本の感染者数のグラフは安心するようなカーブの描き方をしていますが、現在の国の疾病監視システムではまだ検出出来ていないCOVID-19の感染拡大のフェーズに日本が既に入ってしまっている可能性が強く残っています。無症候感染や発症前の件数が大半を占める中で、検査の基準からほぼ全て除外されているからです。COVID-19のスクリーニングを受けた呼吸器と関係ない理由で来院した67名の患者のうち4名(6%)が陽性であることが判明したという慶應大学病院の最近の報告はこの考えを裏付けています。渋谷氏やその他の関係者は、この慶應大学病院の件は大きいサンプルにも代表的なサンプルにもなり得ないが、有病率は非常に高く無視すべきではないと指摘しました。
既に知られている他国における無症候/症候ありの比率を元に、渋谷氏と西浦氏は二人とも、他国では20~50倍になっていると指摘した上で、実際の感染者数を少なく見積もっても日本で報告されている感染者数の10倍になると考えています。慶應大学病院での6%の有病率は過大評価だが、他のエビデンスから東京の人口の3~4%の感染率がもっともらしいと想定して、渋谷氏は「単純計算すればちょうど今何人感染しているか分かる」と述べています。1300万人を東京都の人口とした場合、3%は39万人です。ここでの述語は「もっともらしい」です。2週間前に報告された西浦教授によるモデリング結果では、厳しい対策を行わない場合、日本におけるCOVID-19の重症患者の人数は85万人、死者合計で40万人に上る可能性があると見積もっています。これら2つの見積もりは、アウトブレイクの可能性に関して一般的に認められていることです。自発的にソーシャルディスタンスを行ったり、これまで取られてきたその他の対策の効果は、相対的には不確定要素のままです。
しかし、大多数の死者はまだ明らかになっていないように見えます。検査の実施が足りないことで、関心を持っている多くの方が、単に肺炎と報告されている死が実はCOVID-19によるもので、その結果適切にカウントするのを「隠している」のではないかと疑っていると以前私達は指摘しました。沢山の疾患の種類、合併症、その他の関係要因から、インフルエンザの死亡率は通常の状況でさえ定量化することは難しいと渋谷氏は指摘します。様々な理由から、またそのどれも重複しないことから、伝染病による死はしばしば過小評価されています。インフルエンザの場合、全員に検査をすることは不可能なため、私達は代わりに死亡率の過剰分がどの程度か見積もるプロセスにしばしば頼らなくてはなりません。東京大学の研究者による最近の論文…
2020年3月24日Azby Brown著
Reiko Mori, Yoshida Suzuka, Tatsumi Baba, Ryuichi Anbo, Mami Yahiro, Momoha Koya (Furuhashi Lab., Aoyama Gakuin Univ.) 翻訳
先週、私はセーフキャストの一員として日本のCOVID-19コロナ・ウィルスの検査についての記事を書きました。
さて、ここCOVID-19コロナ・ウィルスに関する正確な情報の伝達が乏しく、最近では検査基準を満たしている人が検査を断られる事例が増加し、国民の間で不満や疑惑の声が挙がっています。これは政府による政策が原因ですが、検査することを重要視している韓国、台湾やシンガポールなどの国は感染者の数値が緩和し始めたのに対し、日本ではそれらの国と大幅に異なり検査数が少ない状況です。
今後一体どういうことが起こるのでしょうか?
日本国内では、普段の生活に於いて肉体的な距離を保つ傾向を筆頭に、マスクの着用や優れた衛生環境、握手による挨拶が少ない、などの要因を基にCOVID-19コロナ・ウイルスに打ち勝ったという話が最近様々な所で広まってきています。セーフキャストでは「マスクの着用」や「規則正しい手洗い」は、肌の接触を減らすのと同等に重要視しており、ここまでの接触感染率の低さを保っているのは恐らくそのお陰なのではないかと思います。
しかし、学校の閉鎖や開催予定であった大きなイベントのキャンセル、そしてなるべく多くの人々が在宅ワークを行っているにも関わらず、文化的背景に基づいた日々の社会的な距離だけでは強制力がとても弱い可能性も出てきています。例えば、公園では毎日のように花見をしに来た人々で埋め尽くされ、電車も常に満員です。バーなどの飲み屋、またレストランなどの飲食店も同じ状況です。私達は今までラッキーだったのでしょうか。
その一方、感染者数は国民全般に於ける検査の不足、そして、誤った分類による単純肺炎で亡くなった方と、COVID-19コロナ・ウイルスで亡くなった方との区別が曖昧で、疑いが晴れないでいる現状も存在します。
日本の各都道府県や地方自治体は、緊急事態時には自主的に対応を行える権限を保持しています。例えば、最近のニュースでは…
2020年のコロナウイルスの大発生は、9年前にセーフキャストが結成されるきっかけとなった東北地方太平洋沖地震/福島第一原子力発電所のメルトダウンと多くの点で類似しています。
私たちは今、何が起きているのか?よく理解しようと努めています。 一部は状況が非常に急速に変化しているだけでなく、透明性の欠如も原因であるため、相反する報告、政治的な情報操作、および意図的な誤情報が状況を理解するのを難しくしています。 セーフキャストは、この新しい状況で経験と努力が役立つ方法を特定しようとしています。 継続的な評価の共有に役立つ新しいニュースレターを作成しています。 毎日、いくつかの重要ポイント、COVID-19に関連する当日のハイレベルなニュース、および私たちが重要だと思うことを発信します。
セーフキャストの立場と一貫して、この複雑で急速に変化する状況をよりよく理解することを目標にアプローチするよう努めます。
セーフキャストでさらに措置を講じる際には、こちらでも発表していきます。
…
情報元: VOX
2020年3月16日現在:COVID-19検査者数:
検査済: 13,026
感染者数: 1,496 (未発症者・発症者共に含む)
死者数: 24
情報元: Toyokeizai, MHLW, Japan Times, Vox
韓国など集中的なCOVID-19集団検診および検査プログラムを展開している国と比較して、日本はこれまでのところ、多くの検査を実施していません。韓国の20万人以上と比較して、日本では厚生労働省によると、3…
2020年3月3日 Sean Bonner &Azby Brown
COVID-19コロナウイルスの世界的な広がりとその反応を観察すると、ちょっとしたデジャヴを感じずにはいられません。
セーフキャストが2011年3月に始まって以来、私たちは信頼、危機コミュニケーション、一般の認識、そして信頼できる情報の不足に脅かされて、自分達の手で問題に取り組み始めたときに何が起こるかについて、重要な経験と洞察を蓄積してきました。 その学習の一部は、今日の状況において役立てることができます。
すべての人にとって相互に有益な結果に向けた努力により、私たちは我々自身の経験からいくつかの高いレベルのベストプラクティスを共有しています。
(注意:ウイルス学や疫学ではなく、コミュニティと環境モニタリングに関する専門知識です。この記事の最後に、信頼できる専門家と情報源のリストを集めました。)
政府へのアドバイス
透明性の重要性. 今日、人々を誤解させることが、明日の有益には結びつきません。逆に、正直は、狂ったように将来に報いることができるでしょう。
安全第一。短期的な政治的利益のために、有権者の長期的な健康を危険にさらさないでください。人々が病気にならないようにすることは、党派的な問題であってはなりません。
信頼は再生可能なリソースではない。今はもう1920年代ではありません。
人々は信頼できる多くの情報源を持っています。もし彼らがあなたを信頼できると感じないなら、彼らは単に他の場所を見て、振り返らなくなるでしょう。
効果的なメッセージングの重要性。熟練した最高の危機管理者を頻繁に公式の場で話させることです。もし政治家がメディアに出演する必要が場合、専門家以外は懸念の簡潔な表現に限定されるべきであり、その後、すぐに専門家に説明の役割を託すべきです。専門家が、政治家が言ったことをすぐに修正したり、矛盾したりするような状況に置かれないようするべきです。
•旅行の禁止、検疫、および学校の閉鎖は、非常に破壊的な手段。
影響と停止するタイミングを決定する難しさを熟考ことなく制定すべきではありません。これらの実施の特定の条件および旅行禁止またはその他の閉鎖を終了することは、説明される前に事前に国民に対して、慎重に明示されるべきです。
メディアへのアドバイス
確認されていないスクープの公開を急ぐ衝動を抑えてください。 誤情報ははるかに速く広がり、事後の修正を行っても情報は残ってしまいます。
2020年東京オリンピックに関して耳にする懸念は、汚染水タンクの問題よりも漠然としています。ある人たちは、日本に来るのは本当に安全か?と尋ねてきます。他のある人たちは、福島県に絞って聞いてきます。
何人かのジャーナリスト達は、福島県の福島あずま球場で開催される競技を観戦する人々の潜在的なリスクについて詳しく調査するよう、私たちに求めてきます。
東京在住ビジネスマン・Roy Tomizawa氏の質問に対しては、彼にbGeigieを作り、スタジアムを自分で調査することを提案しました。
彼は実際にbGeigie製作に挑み、調査を行い、結果をレポートにまとめました。
人々が自分達の手で調査できるようにすることは、私たちが一般の人々と関り、情報公開するために好む方法です。放射線リスクに関しては、「安全」の枠組み全体に問題があるとしばしば指摘しています。食品、環境、およびその他の場所で許容される放射線制限のガイドラインは、実際には「安全」の制限ではなく、それを超えることは「安全ではない」という意味ではありません。これらは、実際に「安全でない」被ばくを防ぐことを目的として、保護措置の行動を起こすための警告レベルです。
いずれの場合も、重要な質問は次のとおりです。このリスクを理解していますか?そのリスクは受け入れられますか?
これが人々にとって必要なことであり、政府がこれまでのところ、情報を提供するという使命をほぼ実行できていない点です。
繰り返しますが、最も大事な点は透明性にかかっていると思います。
Googleで”福島 オリンピック”と検索すれば、来年、福島を訪れる競技者および訪問者が、生命のリスクに関する懸念を持っていることがよくわかります。
韓国政府は、現地の製品を食べることで健康上のリスクが生じないように、チームが自分用の食品を持ち込むことを発表しました。多くの人々は、日本政府が福島でオリンピックのイベントを開催して、災害の影響を隠し、福島県を正常に装おうとしていると、疑っています。政府がずっと前からこの”シナリオ“のコントロールを失い、2020年のオリンピック開始前に回復することはできず、その悪影響はその後何年も続く可能性があることは明らかに見えます。
世界中の人々が懸念しているリスクに対して、わかりやすい形の適切なメッセージや情報はありません。これまでに見てきたメッセージは、不器用で、何かすべてが順調であるように意図した、笑顔の幸せな人のイメージ作りに重きを置いています。その人々が政府自体に不信感を持っているため、誰もそういった心からの安心感を信頼していません。
日本政府機関は、このような問題に対する権威が、一般にはまだ損なわれていないという前提の下で行動しているようです。彼らのメッセージは、必要な透明性を実証せず、かつ適切な説明をすることなく、「委員会の調査結果、安全だと判断しました。」と単に発言するだけの仮定の下に形成されているようです。
政府のやり方をこれ以上簡素化することは望んでいませんが、私たちは福島の人々を大切にしているので、政府には福島の状況について明確かつ正確な情報を提示していただきたいのです。
福島の状況は、Googleの検索結果で現れる、警告されるような内容ほど悪いものではありませんが、間違いなく最高の状態というわけでもありません。正直なメッセージには真実が反映されます。私たちも、なぜ世界の人々の既存の恐怖と懐疑心を無視して、政府が福島でオリンピックを開催にこぎつけたのだろう?と思います。多くの福島県民は競技開催を支持しており、2011年の災害以降の県の進捗状況に前向きなスポットを当てることを望んでいます。それは地元の経済にも良いかもしれません。…
疑問の山
2020年東京オリンピックが近づき、福島第一原発で保管している汚染処理水を太平洋に放出する計画に関して、最近、我々の元に質問が多く寄せられますが、言及することは容易ではありません。なぜならそれは公共の安全問題が関わっているからです。
来年の東京オリンピックを観戦に来る人達、特に福島会場を訪れる人たちにとって、放射線はどの程度安全なのか?
東京電力が福島第一原発に何百ものタンクに現在貯蔵しているトリチウムおよび他の放射性核種を含む水を放出することはどれくらい安全なのか?
この2つの疑問はもちろん別の問題ですが、どちらも、答えは透明性にかかっています。ジャーナリストと一般市民の両方からこれらの問題について非常に多くの疑問を受け取っているという事実は、福島第一原発に関して日本政府と東京電力が述べていることに対する信頼の欠如が未だ続いていることを表しています。
透明性なしで信頼はあり得ないということが、私たちの信条のひとつとなっており、あらゆる機会があるごとに繰り返し発言しています。疑問がオリンピックや水、食品の安全性、環境、あるいは健康に関するものであれ、利用可能な科学データのみが全体像の一定部分を明らかにします。
科学が政策をサポートしている場合でも、一般市民が正確さを評価するのに十分な透明性のある情報が提供されていないことは何回もあります。
そして、私たち自身が公式の主張を確信を持って検証または反論するのに十分な信頼できる情報を得ていないと結論せざるを得ない場合が多々あります。
Part 1: 汚染処理水はどうなっているのか?
タンクの汚染処理水については、昨年、詳細な2部構成のブログ記事と、この問題に関する新聞の記事を書きました。政府と東京電力の両方のコミュニケーションと透明性に関する問題を指摘し、汚染処理水を放出するリスクについて専門家の意見を伝えました。
当時、東京電力と政府が提供したタンクに保管された汚染処理水に関する全ての情報は、トリチウム含有量のみで他の放射性核種への言及はありませんでした。
記事執筆の調査の一環で、私は東京電力の専門家に何度か相談しました。タンクの実際の放射性核種含有量を示すデータがあるかどうか、そしてトリチウムのみを示す要約データが公開される度に、本当に心配しているのはトリチウムだけなのか?と直接、何度も尋ねました。
数か月経った2018年9月、東京電力は突然、トリチウムに加えて、タンクにもストロンチウム、アメリシウム、およびその他の放射性核種の顕著なレベルが含まれていることを発表しました。私たちと同様、世界中の人々はこの不正直さに激怒しました。
それでは、2019年11月21日の経済産業省からの発表…
上:カリフォルニア州サンタクルーズの市民たちが、Our Radioactive Oceanプロジェクトのために海水のサンプルを集めています。 (WHOI)
Safecastは日本及び国際的に多くの市民科学コミュニティと交流を深める機会に恵まれました。昨年12月に香港にて行われたNational Geographic主催の市民科学ワークショップに、アジアの代表的な市民科学プロジェクトとして、その他30プロジェクトと共に招待されました。このワークショップの一つの成果がSafecastとアジア圏での市民科学プロジェクトのネットワーキングを行なっているCitizenScience.Asiaとの協力関係です。
福島原発事故から8年となる3月24日(日)にSafecast及びCitizenScience.Asiaの初の共同イベントとして、日本をキーワードとした市民科学イベントを開催します。長い歴史を有していたり、最先端技術を駆使しているなど、複数の興味深いプロジェクトによるプレゼンに加え、
参加者が実際にこれらのプロジェクトが活用している技術や機器を体験できる時間も設けられています。イベントは無料で一般公開されているので、皆さんのご参加をお待ちしております。
題名: 水、マッピング、ミクロ: 日本の市民科学の現状
Safecast及びCitizenScience.Asiaによる共同主催
日時 : 2019年3月24日(日) 15時 – 18時
開催場所 : Loftwork COOOP 10
住所 : 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-22-7 道玄坂ピア 10階
登壇者:
— アズビー・ブラウン, Safecast
— 宮下 …
1月半ば、セーフキャストはリアルタイムでの放射線測定が可能な新しいデバイス、ソーラーキャストナノを福島県大熊町の立入禁止区域内に取り付けました。この場所は事故のあった原子炉から2kmしか離れていない場所にあります。
公式に発表されているデータの精度を検証するため、もともとセーフキャストは15台の固定式放射線センサーを福島に設置していましたが、今回新しいデバイスを取り付けたことで、この1台が福島第一原子力発電所にもっとも近い距離に設置されたリアルタイムセンサーとなりました。以前こちらのブログでもご紹介した通り、ソーラーキャストナノは太陽電池で動作し、自動でかつリアルタイムにモニタリングできるデバイスで、私たちが開発済みだったポイントキャストとソーラーキャストのデザインを引き継いだデバイスです。12月東京のセーフキャストオフィスで、10台のソーラーキャストナノのプロトタイプをテストセッションで製作し、その後動作テストを行ってきました。そんな折、私たちは福島第一原子力発電所ツアーに参加し、この大熊町の敷地も併せて訪れた際、すぐにこの場所にソーラーキャスト設置の許可を申請しました。ありがたいことに福島県の関係者の皆様の協力により、この情報透明性が非常に重要であると即時に理解していただき、設置実現に尽力していただきました。
ソーラキャストナノを設置した場所は、事故前は「特別養護老人ホームサンライトおおくま」として知られていた場所で、海抜100mの丘の上にあり、福島第一原子力発電所を見下ろすことができます。「サンライトおおくま」は福島第一の3キロ圏内にあるため、2011年3月11日午後9時に避難指示が出されました。幸いに避難活動は順調に行われ、ほかの病院や老人ホーム同様、入居者の中で亡くなった方はいらっしゃいませんでした。現在「サンライトおおくま」を見ると、運営されていた当時はすばらしい施設だったことがわかり、とても残念な気持ちになります。いまだにストレッチャーが施設の入り口をふさぐように放置され、ロビーも人々があわただしく立ち去らざるを得なかっただろう当時の瞬間を6年半たった今も残しています。大熊町のこの丘周辺の地域は、除染のための中期的保管場所として指定されました。私たちが「セーフキャストレポート」に記載したとおり、現在数年のプランの遅れはありながらも、ここは最終的には埋立地および放射性廃棄物関連する施設を見渡す場所に位置することになります。
「サンライトおおくま」自体も環境省の管理地域であるため、今回のプランは30年間有効でその後は破棄されることになっています。
ソーラーキャストシステムはレイ・オジー氏のアイデアをベースにして、電源の供給やインターネット接続のできない場所での使用を想定しており、設置後は自動で動作すます。福島の現場にいられる時間は非常に限られていた上に、その場所へのアクセスには事前の許可が必要なので、ジョーとアズビーは設置用デバイスを何種類か持ち込み、突然の変更に備えました。いくつか設置の方法と場所の可能性を話し合った後、最終的にとてもシンプルな方法を選びました。ジョーは太陽光を最大限活用できるように角度を調整して、アルミのワイヤーでソーラーキャストナノをフェンスに設置しました。設置自体には20分を要し、動作の確認を待っている間、ジョーはドローンを現場で飛ばして、下の写真を撮影しました。
福島に設置される前にこのデバイスは数週間ほど横浜に設定されていましたが、下記のデータグラフで直近30日のデータを見ると、横浜と大熊町の放射線レベルの違いが0.1 毎時シーベルトと5.5毎時シーベルトではっきりと見て取れます。
このデバイスはプロトタイプであることから、私たちはこの設置もテストの一環と考えていますが、ソーラーキャストナノは現在問題なく動作しています。しかし、私たちはさらなる福島第一原子力発電所近くへのデバイス設置を近い将来実現できることを楽しみにしています。
翻訳:Shoko Hagiya…
どうして我々がソーラーキャストを開発して発表することになったのか、途中いろいろな課題に直面しながら完成に至った過程について少し触れたいと思います。以前ポイントキャスト(Pointcast)ネットワークを配備したとき、センサーを現場に設置するのに電源やインターネットにどのようにアクセスするかという問題に何度も突き当りました。また、装置設定のために複雑な要件があったため配備に時間を要しました。bGeigie 配備の経験から、装置からデータを取得する処理が簡単であればあるほど、より多くのデータを収集できることが分かっていました。大気質センサーを追加するつもりだったので、我々はこうした一連の問題や経験を全て見直すと同時に、振り出しからやり直すとしたらどうするだろうかと考えました。
完全なワイヤレス、ソーラー式、自動設定、そして場所を問わずどのような場所でも置くだけであとは何もせずに稼働する装置を作ろうというアイディアが生まれました。とにかくシンプルなものにしようという構想から、当初はこのプロジェクトを「シンプルキャスト」と呼んでいました。しかし、ソーラー式という要因がこのプロジェクトの特異性を際立たせるものであることを認識し、それを強調するために「ソーラーキャスト」という名称にすることにしました。しかし、始めは実験用回路板とアイディアしかありませんでした。
セーフキャストチームのオリジナルメンバーであるレイ・オジーが全面的にこのプロジェクトをリードし、自ら考案した要件を満たすために自分自身への課題として取り組みました。相互に測定値を検証し将来の装置やその配備のために有益な実地調査ができるよう二重大気微粒子センサーを使うことに決めました。
スタンドアローンの独立したワイヤレス装置の有用性はかなり無限です。
この写真は、どこへでも簡単に移動できるよう車の屋根に搭載可能で今や語り草となっている「スノーボード・マウント」をレイ・オジーが自慢そうに見せているところです。どの国でも、装置はルーフマウントが付いた車ならその上に取り付け可能です。
シアトルに設置されて稼働中の装置:
長時間の耐水性テスト…
スロバニアのファブリコア社で組み立てられた初出荷品:
超低温テスト:
完成した装置、出荷準備完了!
しかし輸送中に予想していなかった問題が発生。重いバッテリーパックが輸送中の振動で緩んで踊ってしまい、他の部品を全部つぶしてしまったケースがいくつかありました。
補強して輸送中の振動や衝撃に耐久するバージョンを設計しテストしました。
テストは終了し、今こうしているうちにも新しい装置は最初の配備場所へ到着しようとしています。詳しくはまた後日報告するので楽しみにしていてください。
…
ソーラーキャスト(SOLARCAST)とは:
セーフキャストは2011年3月に住民ベースの環境モニタープログラムを開始して以来、膨大な経験を積み上げてきました。その学習曲線には難関が少なくありませんが、常にやりがいがあります。セーフキャストのオリジナルメンバーであるレイ・オジーにより最初に発案・設計された新たな装置ソーラーキャストは、bGeigie可動放射線センサーやPointcast固定放射線センサーの配備や、最近のSafecast Airベータテストなどによって我々がこれまで習得した成果が結集されており、何の煩わしさもなく使い易い独立した操作性を提供することを意図しています。
主な特長:
シャトルワース財団とアネンバーグ財団によるサポート、そしてスロバニアのファブリコア社による実際の装置作製作業のおかげで、ソーラーキャスト装置をロサンゼルス市内やその周辺および米国、ヨーロッパ、日本の諸地域に配備できるようになりました。
ボックス内の構造:
バッテリーパックとソーラー電源コントローラ, 空気吸入口, 二重微粒子温度&湿度センサー, 空気排出口, 高電圧電源, 防水IP6Xボックス、三脚マウント付き, 二重放射線センサー, ON/OFF & 外部電源, セルラーモジュール, LoRaモジュール, GPS, 加速度計, メインCPU、BLE付…
2016年11月3日には、SAFECAST× E2D3共催による「データ可視化ハッカソン」が開催されます。この他にも東京で開催されるイベントがありますので、カレンダーに予定を書き込んでください!
2016年11月14日(月)19:30~ 「放射線と科学ジャーナリズム」 Radiation & Science Journalism Japan Fellows’ Network (RSA JFN) x SAFECASTの共催セミナー
英国王立芸術・製造・商業振興協会が設立した日本フェローネットワークとともに、元BBC放送ジャーナリスト清水健(しみずたけし)氏、および科学ジャーナリスト小出重幸氏をゲストに迎えて公開イベントを開催します。福島第一原子力発電所の大事故の発生以降、公的機関のコミュニケーションの問題点や欠点について、また、Safecastをはじめとした諸団体が、どのようにして情報の空白を埋めるよう努めてきたのかという点について焦点を当てながら、スピーカーの発表を聞き、一緒に議論を進めていきます。進行はすべて日本語で行われます。軽食、ドリンクも用意して皆様のご参加をお待ちしております。有料イベントにつき、事前予約が必要となります。
場所: 渋谷ロフトワーク、10階のイベントスペース。 地図、住所に関する情報はこちらをクリック。
先週、VOXの “航空旅行の放射線について”という記事が注目を集め、直後からセーフキャストに関連するデータがあるかなどの問い合わせがありました。過去数年間、セーフキャストでは飛行機搭乗中に放射線量を測定してきましたので、実を言うと関連する膨大な量のデータを保有しています。
しかし、これらの“飛行”測定値は、セーフキャストの正式なデータベースや視覚化した資料には追加していません。というのも、現在の装置では高度差を区別できないので、同じ位置でも、地上の測定値と空高く飛行している機内の測定値とを混同させてしまうからです。ここにイメージを伝える少量の飛行測定結果 “可視化結果” を表示しましょう。
さらに“ログ(サンフランシスコ-アトランタ)” -4- “ログ(アトランタ-サンフランシスコ)” の例を紹介します。飛行機が離陸直後に急激に数値が上がり、その後は数値が一定しているのがわかります。
VOXの記事は、通常の航空飛行の被爆は“ごく少量”で、まれな飛行では歯科用X線フィルム8回分程度で、頻繁な飛行は胸部X線検査2回以上に相当するとするチャートを示しています。
セーフキャストのデータからは、飛行機による旅行者はどんなフライトでも大体800CPM以上の被爆を受けます。対してほとんどの都市の地上で受ける平均値は20-60CPMの間であることがわかります。
人々が飛行して数時間にわたって受ける宇宙線の被爆量と、毎日地上で過ごして自然界あるいは人工の核種からの被爆量を比較するのは簡単なことではありません。
しかし、飛行機内の被爆量と、福島のような少し高い大気の被爆量を比較するのは価値のあることでしょう。セーフキャストのポリシーとして、私達は何が安全か否かをコメントするつもりはありません。むしろ、一人一人が、自分自身の被爆レベルに関して、「ごく少量」の基準を決める必要があると考えています。
セーフキャストでは、こういった議論ができるよう、そのために活用する具体的なデータを提供したいとも思っておりました。常に、地上レベルで測った私達の基本的なデータの視覚化は、ここで見ることができ、全てのセーフキャストのデータはCC0として提供され、ライセンスフリーでご利用いただけます。…
FabCafe Taipei will host its second bGeigie Nano workshop in Taipei on Saturday, May 30. Last years’s workshop, led by Safecaster Joe Moross, was a huge success, and Joe will be there again this time to guide participants through the …