福島県におけるセンサー撤去についての意見書

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2018年8月1日

ご担当者様

2018年3月20日に発表されました「リアルタイム線量測定システムの配置の見直しについて(案)」(http://www.nsr.go.jp/data/000224268.pdf)で、原子力規制委員会(NRA)は、福島県内にある2800機以上のリアルタイム線量測定システムの約80%を撤去あるいは移動することを発表しています。

このレポートでは、議論のひとつに、会津地方など、2011年以前は東京より放射線量の高いことなどなかったという地域における放射線量についてや、県内の他の地域では著しい線量の低下がみられたことなどが言及されています。

原子力規制委員会は、ほとんどのモニタリングポストが撤去された後でも、手持ちタイプの計測器など、より適切なタイプで十分なモニタリングがなされ、現在のリアルタイム線量測定システムの継続の必要性は低いとしています。

2020年までにモニタリングポストの撤去をする目的は、避難指示、解除区域市町村外の空間線量が“十分に”低く、安定していることから、地方自治体が要請している他の地域にデバイスを移動したいのだといっています。

しかし私たちセーフキャストは、モニタリングポストの撤去は、不適切で思慮の浅い結論だと言わざるをえません。

セーフキャストでは過去に、福島県内のモニタリングシステムがどのように設置されたか、計測しつづけるうえでどのような問題を抱えていたかについて、記事を書いています。

情報、誤報、偽情報 パート1

https://blog.safecast.org/ja/2012/12/information-misinformation-disinformation-or-these-arent-the-droids-youre-looking-for-part-1/

情報、誤報、偽情報 パート2

https://blog.safecast.org/ja/2012/12/information-misinformation-disinformation-or-these-arent-the-droids-youre-looking-for-part-2/

セーフキャストはまた、この機器が有効であることを認めた最初の団体でもあります。たとえセンサーに不備があろうとも、計測されないよりは良いという見解でいたからです。

震災後、様々な反応があったように、事故以前の計画が不十分であったことは、このシステムが、地元の意見を十分に吸収することもなく、急いで設計され、設置されていたことからもわかります。

富士通は開発にたった75日間しかありませんでした。このシステム全体を設置しようと思えば、ハードウェアの開発者には少なくとも、もう少し時間が必要だったことは技術者には明らかです。

特に、ユニット設置の決定は急で、それゆえ、場所によってはモニタリングポストが重複されて設置されたり、足りなかったりといったことがありました。しかし、いまや国民はこのシステムを頼りにしており、モニタリングポストに現れる数値をチェックする習慣がついています。

また、モニタリングポストを設置するために、多大な費用と時間も費やされています。それを撤去してしまうことは、お金と労力の無駄遣いにもなりますし、市民の公共データへの自由なアクセスが妨げられてしまうことにもなります。

NHKの報道によると、モニタリングポスト撤去の最終決定については、各地方自治体が最終敵に決断できるということでした。つまり、モニタリングポストを維持するか撤去するかの最終的な決断はまだ出ていないわけです。

この議論は現在進行形ですが、どれだけの地方自治体がこの計画を継続できるかを予測することは難しいと思います。3月20日の告知では、何十もの福島県内の地域の公式見解が発表されています。

これによれば、半数以上の6~7割の市民は、モニタリングポストの撤去に反対しています。

いわき市の公式発表には、「撤去の申し出はあまりにも唐突で、放射性物質の存在は引き続きあるし、市民は引き続き放射線量への懸念が消えなることはない」というものでした。

福島第一原発の廃炉への道のりはまだ始まったばかりで、先はまだまだ長く続きます。いわき市は、今後の事故にそなえて新しい避難計画を準備していますし、市民は精神的な平穏のために、モニタリングポストの継続した設置を望んでいる」と発表しています。

郡山市も、「市民の半数以上が、福島第一原発が廃炉となるまで、モニタリングポストの継続を希望している。だから、我々もモニタリングポストを維持するべきだ」という見解を発表しています。石川町の役人も「福島第一原発の炉の状態がはっきりわからない現状で、リアルタイム線量測定システムが唯一の市民の不安を取り除く方法だ」と述べています。

栃木県との県境にある白河市の西郷村や新潟県との県境にある西会津の只見町は、明らかにモニタリングポストの撤去に不服を申し立てています。南相馬市はモニタリングポストを継続しておく方向でいますし、飯舘村は、自分達の管理下に新しくモニタリングポストを置くことになっています。そして、これを聞いても驚きませんが、会津放射能情報センターのような、いくつかの市民グループも対抗策を練っています。

2017年7月、NHKは撤去と移動の計画を地図で示しました。

批判は引き続きあるものの、モニタリングポストの必要性は明らかで、撤去は最悪の案だと言えます。最初から、市民の健康や安全を考えた上での計測プランではなく、費用やPRといった政治的理由が動機づけられて登場したモニタリングポストでした。今ですら十分に透明性があるとも言えない状態だというのに、モニタリングポストの撤去は、今以上に透明性を欠くことになると言えるでしょう。

セーフキャストとしては、モニタリングポストは撤去されるべきではないというのが公式の見解です。

また、セーフキャストとしても解決策を見出したいですが、自分達の統制外になるような課題を引き受けたくはありません。もし、原子力規制委員会がモニタリングポスト撤去策を進めるというのであれば。私たちは代案を提案したいと思います。

それは、このプロジェクトをセーフキャストに任せてもらいたいということです。

セーフキャストは唯一の非営利団体として、世界的に認知された、独立したオープンセンサーネットワークを持っています。そのデータは福島県のものももちろん含まれています。このような世界中で信頼されている非営利の組織は他に類を見ず、リアルタイムモニタリング計画を運営するのに、最適の団体だといえます。

セーフキャストの現存するリアルタイムセンサーネットワークは、有効で信頼できるものですし、一台ごとにかかる運営費用も廉価に抑えることができます。

もし、セーフキャストがモニタリングシステムを引き継いだならば、システムを一段と充実させ、放射線情報の発信やコミュニケーションも十分なものにできます。

稼働していないモニタリングポスト。2013年、南相馬市小高区にて。

県内のモニタリングシステムを撤去するというのであれば、セーフキャストに後を継がせてほしいというのが、私たちの提案です。過去7年間の活動の中で、私たちは県内の地域の方々とも着々と信頼を築いてきました。プロジェクトを続けていく上で、地元の人たちと直接交流ができるという強みもあります。私たちが引き継ぐことができれば、住民の皆さんにとっても納得のいく運営をできる自信があります。

ご検討いただけますと幸甚です。よろしくお願いいたします。

セーフキャスト全メンバーより

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