Safecastの放射線量セミナー in いわき市

In 論説 by sean

This is a guest post written by Ryuichi Mori, ex vice chairman of Dentsu and Advisor to MIT media lab.

私は3月1日、Safecast Japan のPieter さんとJoeさんにお願いして、福島のいわき市で、放射線量のセミナーを開催していただきました。福島県は、津波で漁業が壊滅。追い打ちをかけるのが、原発事故です。福島産の魚の市場は事実上消滅してしまいました。多少の放射線量の減衰は、市場の復活には程遠く、漁に出るのを控える毎日が、今でも続いています。
魚や野菜の放射線量を測ることは出来ますが、仮に線量を毎日計測したとしても、福島のどこかで線量の高い野菜や魚が出現すると、市場全体で、県産の産物が販売困難な状況になってしますのが現実です。風評被害も出てきます。また生ものの放射線量を測る計測機は、非常に高額で、いつでも、どこでも、誰でもが計測することには、大きな壁になっているようです。
販売者も無く、購買者も無いとなると、漁には出られません。
それでも、何時海に出漁出来る日がくるのか、坐して待つしか無い深刻な状況がそこにはあります。
放射線量を計測することは、直接的にその問題の解決策にはなりませんが、毎日継続して何か所もの線量を計測し続けることで、ある判断の基準を作ることはできるのではないでしょうか。また魚の線量を計測するもう少し安価なカウンターが開発されれば、毎日色々な魚の線量を測り、毎日公表することで、市場、消費者に客観的な指標を提示できるようにもなるのではないでしょうか。風評へのカウンターデータを地道に示していくことも今のような出口のない状況を、少しでも展望のある方向へ導くことができるのではないでしょうか。
そんな問題意識で、いわき市へ出かけました。勿論動機は、Safecastの活動が、粛々と広域のありとあらゆる道路の線量を計測する活動を繰り広げていることに、刺激を受けたからです。
Safecastの活動をいわきの人々と共有したかったからです。
地元の新聞社の小磯さんの協力で、駅前の会議室を借り、新聞でも募集記事を書いていただき、定員一杯の30名の聴講者で開始されました。
約1時間のPieterさんの講演に続き、質疑応答に一時間。
熱心で専門的な質問が相次ぎ、充実したセミナーになりました。参加者の放射線量に関する知識の正確さ豊富さには、本当に感心しました。
Safecastの活動の大切さについても、理解が深まりました。参加者もSafecast側も共通の認識に達した大切なポイントは、出来るだけ多くの地点の線量データーを測り続けること、そのデーターを公表し、誰でもいつでも何処でも見ることができること、その結果一過性のデータに一喜一憂することなく、冷静な判断をする姿勢が育つことなどでした。
そして最後に生ものの線量を計測できる安価な線量計が、一日も早く開発され、漁業関係者へ台数が供給されるよう努力をするという視点も提起されました。データーが毎日市場へ示されて、安心して福島の港へ毎日魚が水揚げされる日が、一日も早く来ることを祈る気持ちは、参加者全員の思いであったことでしょう。
Safecastの活動は地味ですが、今のような原発被害の閉塞状況を
抜け出すための、策のひとつであり、大きな解決の一歩であることを認識した一日でした。 森 隆一