発見と検証

In 測定, 論説 by Dirk

地図:群馬大学 早川教授による。製図:萩原氏による。

私は茨城県との県境にほど近い、千葉県の北東に位置する我孫子市に住んでいる。数週間前、この地域の保育施設の母親が心配そうにガイガーカウンターを私に見せてくれた。そこには、公式発表の数値が毎時 0.1 マイクロシーベルトであったにもかかわらず、毎時 0.6 ~ 1 マイクロシーベルトという高い数値が示されていた。私は放射線測定の関係筋に連絡が取れる友人に尋ねて回ったが、機器の誤りや、送信アンテナなどの地域の放射線発生源といった理由以外の説明を得ることはできなかった。

しばらくして Safecast の Pieter が中部大学の武田教授により書かれたブログ記事を見つけ、私に知らせてくれた。大学間で共有された測定データなどに基づき、武田教授は、東京に近い三郷市から私の住まいに近い柏市までが、3月末には大幅に汚染されたことを説明している。福島原発から 200 km 以上離れた土地に放射性物質が落ちたことにより、この地域はいわゆるホットスポットと化していた。この地域の周辺地域は数値が比較的低いのに対し、ホットスポット内では汚染が何倍もの高さになっていた。群馬大学の早川教授が地図を作成され、これが武田教授の記事に使用されていたが、この地図によると私の町は含まれていなかった。

私達がこの発見をした同日、Pieter と Stig が bGeigie を搭載した車で私の家を訪れてくれた。私達は高い汚染の可能性のある地域を走行しこの地域を Safecast することにした。確かに武田教授らが指摘した地域はホットスポットだったが、Safecast の結果、ホットスポットがさらに広い地域にわたることが分かった。Safecast の地図はここで見ることができる。

Safecast probe #2 - Japan - Chiba

私達は放射線が主に空中ではなく地面から放射されているとすぐに気付いたため、様々な地表面の詳細な測定を続けて行うことにした。測定では、雨の降った表面は全て大幅に高い数値を示していた。

SPEEDI データや他の情報源から得た初期段階の結論は以下の通りである。

 

  • 放射線が落ちたのは 2011 年 3 月 21 日またはそのすぐ後の降雨によるものだと考えられる。下のグラフは、東京大学が公表している同大学の柏キャンパスにおける測定値から作成されたものである。21 日の増加が明らかに見て取れる。

  • 雨は小雨でまっすぐ落ちたと考えられる。測定では、露出した部分と比較し奥まった部分では数値がかなり低いことが確認された。
  • 放射線の大部分は現在では地面、特にアスファルトとコンクリートの表面から放出されている。(例えば建物の 4 階などの)高所から測定すると、若干高い数値が計測されるものの、1 メートルの高さで計測した場合の半分以下となる(毎時 0.55 マイクロシーベルトに対し、最大毎時 0.25 マイクロシーベルト)。
  • 人工的に造られた水平面ではほとんど全て、非常に近距離で測定した場合、1 メートルの高さで計測した場合と比べほぼ一桁高い放射線レベルを示している。最も高かったのはアスファルトとコンクリートの表面( > 1400 CPM )、それより少し低いのが木(例えば露出されたベンチでは ~ 1000 CPM )。これに対し、砂、砂利、土(子どもの砂場を含む)は表面でも増加の度合いは非常に小さく、アスファルトやコンクリートを 1 メートルの高さから計測した数値の半分強であった( 毎時 0.55 マイクロシーベルトに対し、最大毎時 0.35 マイクロシーベルト)。

良質の機器と一貫した方法論に基づき行った測定は、福島原発から遠い地域に到達した汚染の性質と範囲を確認するのに明らかに役立った。今回の場合、ホットスポットの存在は複数の学者により発見され武田教授により公に指摘されたわけだが、Safecast による検証は私やこの地域に住む住民にとり非常に貴重であったといえる。.