セーフキャストプロジェクトの素晴らしい利用法の一つは、前例のない規模で環境データを収集し分析できることです。セーフキャストでは、2年間にわたって日本における放射線データを収集してきました。今こそ日本の異なる地域横断での放射線変化を振り返ることができます。
2つの街での計測
福島第一原発の事故が日本全国で放射線について共通の認識をするようにいたった間、私達は国内の広い範囲にわたって十分な計測を続けてきました。国内のほとんどの場所は、311以前と背景の放射線量があまり変わっていません。(一分間に約30~40カウント)。 この事の一例として印西市があります。印西市は東京と成田空港の間に位置し、メルトダウン地点から193km南西の場所に位置します。最初のグラフはバックグラウンドレベルがわずかに通常考えられるよりも高いことを示していますが、放射線の観点では、2011年の半ばから2012年の終わりまであまり変化はありません。
次の研究対象の街は、福島第一原発から北西に約38kmのところに位置する飯舘市です。かなりの被ばくと顕著な減衰曲線を示しています。減衰曲線で注目に値する点は、半減期が指数関数的減衰関数に適合して妥当な精度で推定できていることです。この方法により私たちは表面放射能の減衰半減期が2011年半ばに始めた2年間からわずかに1年であることを推定することができました。これは2つの主要な放射性同位元素であるCs134とCS137の減衰半減期が、それぞれ2年と30年なので、注目に値するのです。このことは、追加のメカニズムが飯館村には作用していて、放射性物質が表面から離れていることを示しています。たとえば、侵食や新しい表土の堆積といったものにより表面の測定可能な放射線減衰を加速させているのです。
より広域な分析
以下は、過去2年間にわたり、日本国内の8ヶ所の一連の放射線と時間を軸としたグラフです。データはすべてセーフキャストの公開されているデータベースから抽出されており、選択地域は得られたGPS座標のまわりで1辺が2キロの正方形からなるものです。
ここからどこへ?
半減曲線は4平方キロメーターの区画で計算しています。これが空間分解能を減少させている一方で、特定の場所に対する有意な統計情報を収集することができます。さらなる分析により調査の地域間や減衰曲線の特長間の関係を比較することができます。同様に、この最初の傾向には、その土地の地形を考慮していません。特定の場所の地形や土壌、気候が表面放射能の変化率に顕著に影響を与えるのは当然のことでしょう。一般的に、測定データの数が徐々に増すにつれ、どの位置においても、分析の有意性は改善するはずなのです。
翻訳:Toshiyuki Arai