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Safecastによる海藻採取の試験的調査について

In ニュース by azby

福島第一原発の事故で放出された放射能の大半は(約80%とも言われています)、海に流失したというのは既知の事実ですが、地上にで生活している者にとって、これは不幸中の幸いであったかもしれません。そして、その放射能が食物連鎖の中に入り込んできているのかどうか、確実なことは分かっていません。
海藻は人間だけでなく、いろんな生き物たちも食べるので、食品の放射線量を測るうえで適材かと思います。 ウースター工科大学のマルコ・カルトフェン先生のご厚意により、我々が採取した海藻サンプルを使って様々な検査を実施してもらいました。


地図の説明:赤いマーカーで記された所はサンプルの採取ではなく停止した地点で、緑色の印がサンプル採取の行われた地点となります。各マーカーの上をなぞるようにマウスを移動させると(あるいはマーカーをクリックすると)、簡単な説明と画像が表示されるようになっています。
採取場所の地図リンク

海藻は通常、船に乗って沖へ出てから採取しますが、セーフキャスターのジョナサン・ワイルダーとジェレミー・ヘッドリーは、2014年、春分の日の週末に東京から福島に向けて車を北上に走らせて福島に向かい、岸辺からできる限り多くのサンプルを持ち帰ってきました。
採取した海藻サンプルは、岩礁で生育していたもの、海岸に打ち上げられたもの、または、土産物店で食材として販売されていたものです。
二人の課題は、セーフキャストのプロジェクトとして、福島第一原子力発電所を中心点とした南北200キロメートルに渡る距離を1キロメートル間隔で海藻サンプルを採取しました。それは放射能検査のサンプルとして有効なものが陸からも効率的に収集できるかどうかを確認するためでした。

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ほとんどの海岸線は、復興の真っただ中でした。いろんな場所で海藻が見つかりましたが、海藻に近づくことはできませんでした。この日はたまたま満潮時刻が早かったのと、終日の高波も物理的な障壁となり、海面に近づくことができなかったからです。

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最初に海藻を採取したのは、1.5メートルほど飛び降りたところにあった、滑りやすいテトラポッド上でした。
サンプル採取はなかなか難しく、片手で海藻を搔きむしり、もう一方の手で握っていた袋にそれをすくい取って入れるという作業となりました…。

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… 採取した海藻を波にさらわれないように。

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浜辺に打ち上げられた海藻は、ごくほんの少ししか見つかりませんでした。これは海から50メートルほどのところに打ち上げられたものですが、湿った海藻の場合、1回のサンプルに必要な量は280グラムなので、この量では全く足りず、採取しませんでした。

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完成してまだ日の浅い港なので、一艘の船も碇泊していません … 。

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サンプルに最適な海藻を海中に見つけた、と思ったのですが……。

選択肢の一つとして、私たちのどちらか一方が海に飛び込んで採ってくるというのもあったのですが、海水はまだ冷たく、しかも遊泳禁止となっているこの場所から飛び降りてしまうと、戻ってくるのは不可能なのでやめました。

出発前に機転を利かせて、ウェットスーツや足ひれ、魚の陸揚げ使うさおなどを持ってくれば役に立ったでしょうし、長めの植木ばさみや剪定ばさみなども持ってくれば良かったのですけれども……。
実際のところ、何も持ってこなかったので、セーフキャスト魂に意識を集中させ、辺りを見回し、海藻を引き上げるのに役に立ちそうなものはないかと探してみました。
港周辺は整然とした状態でしたから、何かが落ちているとはそれほど期待していませんでしたが、それにしても網や棒、竿など周辺に転がっていても良さそうなものは全く見当たりませんでした。
ところが、一対の古長靴と……、片方に長い糸がついていてもう一方に鉄の重しがついた長い竹竿(写真の左上)が見つかったのです。
竹竿を見つけた瞬間、まさにその海藻を取り上げるのに最適な道具が横たわっていたので、目を疑いそうになったのですが、残念なことに、海藻はあまりにもしっかりと根を這っていて海底から引き剥がすことはできませんでした。

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成果が得られない無駄な立ち寄りが続きましたが、サンプル採集初日の終わり間際に、昔ながらの日本的な景色を目にすることが出来たのですが(風景がつまらないというわけではないのですが)、その日訪れた多くの場所と同様、海藻に近づくことは出来ませんでした。
橋を渡って離れ小島に渡ることは禁じられていまいた。それはおそらく2011年3月の津波で損傷を受けて以来、未だに修復されていないからではないかと思われます。
橋は掛かったままで、海藻も見えたのですが、波がまた高くなっていて採取することはできませんでした。

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2日目は天気に恵まれ、海も穏やかでした。(ここも防波堤設置工事中であることは明らかです。)この場所からも海藻は採取できませんでした。

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時折、波が押し寄せ、テトラポッドの半分ほどまで海水が被ったりしましたが、この場所の海藻は比較的簡単に採取できました。

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このボートの進水路からは、2つの海藻サンプルを収集しました。
ひとつは先端に生息していたもの、もうひとつは、恐らく海藻農家のところから流されてきたもののようです。

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2日目の終わりには、立ち寄った箇所全部の16%に相当する地点から10個のサンプルが集まりました。
海藻を乾燥機を使って乾燥させ、検査用にマルコ・カルトフェン氏の元に郵送しました。
試験的調査の結果は、 「どのサンプルも放射線量は均等に低く(1キロに対し、一桁レベルのベクレル数値)、検出はされなかった」でした。
全ての調査が完了したら、またセーフキャストのブログで更新します。

まとめ: 海岸でのサンプル収集試験的調査に関して、冬以外の季節に、または海が荒れていないときに船を出して採集するのがより効率的であろうという結論に至りました。

作者 ジョナサン・ワイルダー

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bGeigie Nano ワークショップ 神戸

In ニュース by Rob Oudendijk

セーフキャストは、11月28日・29日にデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で開催された神戸ITフェスティバル2014において、株式会社 Eyes, JAPANよりご支援・ご協賛を得て、二日間のワークショップを行いました。一日目は、bGeigie Nanoの組立。二日目は、セーフキャストとAPIについての説明とbGeigie Nanoを用いた放射線測定。

参加者の中には、会津大学に通う一年生の学生の姿もあり、「半田付けをするのは初めてですが、とても素敵な講師が指導してくれるので、安心して放射線測定器の組み立てに臨むことができました。会津大学でも、bGeigie Nanoのワークショップを是非実現させたいです。このようなワークショップの開催は、学生の環境に対する意識を高揚させるだけでなく、bGeigie Nanoを自身で組み立てることによりハードウェアに関するスキルアップ、ソフトウェアに関する問題に取り組むことによりソフトウェアのスキルアップに繋がります」とのコメントをいただきました。

また、神戸市に在住するITエンジニアの方の参加もあり、セーフキャストの地図上に神戸市のデータがほとんど皆無だと気付かれ、「神戸市内で活発に行動をしているので、bGeigie Nanoを持って出かけようと思います。結構、データの収集ができると思うので期待していて下さい。また、自分の家にも一台、環境モニター用として、放射線測定器を設置したいと思っています。bGeigie Nanoに固定センサーの機能を追加できるという開発中の拡張機能については、完成が待ち遠しいですね」とのご意見をいただきました。

セーフキャストの活動には長い間興味があったけれど、忙しいスケジュールのために、なかなかワークショップに参加できなかったという方も東京から駆けつけてくださいました。

今回、セーフキャストにとって、関西方面では初のワークショップ開催となりました。関東以東でのワークショップ開催時に比べると、今回のワークショップ参加者数は少なく、関西方面では、放射線に対する関心があまり高くないように思われました。ですが、放射性物質は、地球上から消えてなくなるという見込みは極めて低く、どこにでも行くことができるものです。このため、誰もが放射線にさらされる可能性と隣り合わせです。ですから、たとえ放射線の危険が低い地域であっても、通常の環境において放射線のレベルを把握しておくことが望ましいと言えます。…