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東京の屋上の塵から検出されたセシウム 134 とセシウム 137

In 測定 by Marco

WPI のゲルマニウム検出器を使用したガンマスペクトル

この画像は東京の建物の屋上で採取された塵のガンマスペクトルです。検出器はウースター工科大学(Worcester Polytechnic Institute、WPI )の物理学部にあるものです。塵のサンプルの重量が小さかったため、結果は推定値となります。検査の結果、キログラムあたり51 +/- 17キロベクレルのセシウム134と、キログラムあたり30 +/- 10キロベクレルのセシウム137が検出されました。この結果は首都圏周辺からの多くの土壌サンプルより高い値です。塵のサンプルは放射能汚染されていない土壌と混ざっていないため、割合が低くなっていないことを考えると、予測どおりの結果といえます。このサンプルがどのくらいの面積の表面から採取されたか正確な数字が分からないため、この数値は平方メートルあたりベクレルの単位で示された結果と直接比較することはできません。

サンプル内の放射能はほとんど全てがセシウム同位体からのものです。鉛やアスベストを含む塵を吸いこまないように気をつけるのと同様に、このような放射性セシウムを多く含む塵を吸いこまないようにする必要があります。保護者は塵に含まれる鉛の摂取を避けるために子どもの手を洗うよう促されることがよくありますが、これは放射性セシウムを含む塵についても望ましい習慣といえます。…

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ボランティア報告:ロバート・ケネラーさんが宮城をセーフキャスティング

In マップ, 測定 by Pieter

この報告は、東京大学先端科学技術研究センター教授のロバート・ケネラーさん(通称ボブさん)によるゲスト投稿です。ボブさんは5月末に車で宮城県を訪れた際に bGeigie 装置を搭載し計測してくださいました。ボブさんによる報告、放射線レベルおよび宮城県沿岸で見た被害の写真を以下に掲載します。

 

放射線レベルのマップはここで見ることができます:東京 – 千葉千葉 – 仙台仙台、一関、陸前高田、気仙沼(注:報告で使用されている放射線レベルの単位はカウント・パー・ミニット(CPM)です。300CPMはおよそ毎時1マイクロシーベルト、1平方メートルあたり11,000ベクレルに相当します。)

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セーフキャストについては、Dorothy Parvaz 氏による4月のアルジャジーラ記事「Crowdsourcing Japan’s radiation levels(日本の放射線レベルをクラウドソーシング)」で読みました。まず Marcelino Alvarez 氏に連絡を取り、同氏がピーテル・フランケン氏を紹介してくれました。私は5月半ばに東京を訪れた際(仕事で日本とサンフランシスコを行き来するため)、ピーテルと会いました。ピーテルから紹介された Joe Moross 氏が、bGeiege 装置を私の車に搭載してくれました。

5月25日、東北自動車道を通り仙台に向かいました。郡山市より南で私は車の外で放射線を測るため自動車道のパーキングエリアに立ち寄り始めました。最初に立ち寄ったのは阿武隈パーキングエリアでした。最初の測定値は2942CPMで、これは風雨でいたんだベンチにガイガーカウンターを置いた際の数値です。これは同じパーキングエリアで測った舗道の数値より1000~2000CPM高い数値でした。

郡山インターチェンジのすぐ南に位置する安積パーキングエリアでも同様の現象が見られました。ここでは、古びたベンチでは舗道の測定値の2倍以上である7195CPM(写真0590参照)が計測されました。

最も高い数値が計測されたのは次に立ち寄った安達太良サービスエリアでした。ここでもむき出しになった木のベンチの数値が高く7319CPMで、舗道での測定値はこの半分強でした。舗道から1.5メートルの高さに設置された bGeigie の測定値は、安積と安達太良では確か400CPM台(毎時1.3マイクロシーベルト)だったと記憶しています。

以上から、放射性同位体はむき出しの木に吸収され、舗道のように洗い流される、または分散することがなかったのだと考えられます。

パーキングエリアに立ち寄りながらさらに北に進むうち、bGeigie と持ち歩き用のガイガーカウンターともに測定値が下がりました。仙台の出口前のパーキングエリアである蔵王PAと菅生PAでは、舗道の測定値はそれぞれ446CPMと258CPMでした。この頃には私は舗道の測定を bGeigie …

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エアフィルターの放射性粒子を測定

In 測定 by Marco

 

先月、セーフキャスティングを実施したメンバーから22点のエアフィルターが送られてきました。これらは主に、福島市、東京、いわき市で使用された車のエアフィルターです。福島市で使用された車のフィルターの放射線レベルは全体で平均毎時2.0マイクロシーベルトであった一方、東京で使用された車のフィルターは平均毎時0.2マイクロシーベルトでした。フィルターはガンマ分光法で分析されました。フィルターに集まった塵からは、セシウム134、セシウム137、コバルト60、ウランおよびその崩壊生成物が検出されました。東北で使用された車のフィルターを取り外し取り扱うには注意が必要な量の、呼吸で吸い込む可能性のある放射性粒子が、これらの塵には含まれています。私達のグループは、放射性粒子について校庭の土壌、またセシウムや放射性ヨウ素の取り込みについて食用の海藻も、検査しようと考えています。サンプル採取をしたいと思われる方は必ずこのサンプル採取ガイド(英語)を読んでください。…

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ボランティアに興味をお持ちですか?

In ニュース, 主要記事 by sean

それはとてもうれしいです!Safecast ではボランティアの方にしていただきたいことがたくさんありますし、まだ私達が考えついてもいないこともあると思います。もし手助けしてくださるという場合は、少し時間を割いてこのフォームにご記入をお願いします。こちらからご連絡させていただきます。フォームは英語ですが、日本語ベースでご協力いただける方は、日本語メーリングリストにご参加ください。…

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Safecast の新しいマップ

In センサーネットワーク, ニュース, 放射線 by sean

Safecast では当然のことながら、地図についてよく検討しています。実際、地図は私達の間で最もよく出る話題の一つでしょう。特にたくさんのデータが掲載された、理解しやすい地図について話し合っています。しかし理解しやすい以上に、役に立つものである必要があります。地図が何のデータを示しているかを理解することと、そのデータが何を意味するかを理解することは、まったく別の話です。私達は放射線マッピングについて話すとき、この点に何度も気づかされます。データを取得し地図上に集約することができても、「分かったけれども、それが何を意味するのか?私達は安全なのか?」と聞かれます。これは簡単に答えられる問いではありません。今月上旬に私達はこのことと、放射線がどれだけ怖いもので、地図上に赤いマークがあると見た人がパニックになってしまうといった話し合いをしました。パニックになるのは正しいことなのかもしれません。しかし単に放射線レベルに関するスペクトルを示す場合、一方に緑、他方に赤が使用されるのが一般的です。このような方法は情報を伝えるのに最適な方法ではないかもしれません。そこで私達は考え始めました。

grid放射線は目に見えず、ほとんどの人がその測定値や線量が何を意味するかさえよく知りません。私達はこれらをもっと人々が身近に感じる形で事実関係の中で理解できる方法を考え始めました。例えば天気、特に気温のことを考えてみましょう。あなたと私が昨日の天気がどうだったか知っていたとします。あなたが私に今日の天気はどうかを尋ね、私が今日の方が暑いよと答えた場合、あなたは私が何を意味したかすぐ分かるでしょう。もしこれと同じことを放射線についてもできたらどうでしょう?震災、津波、メルトダウンが起きる前の3月10日、放射線を心配する人はいませんでした。または少なくとも、通常以上のレベルになっていないかを心配する人はいませんでした。このためこの時を基準として、3月10日に比べ放射線レベルが同じまたは低いか、3月10日に比べ放射線レベルが高いかを、示してはどうだろう、と考えました。そしてこれが実際役に立つ情報だということが分かりました。このため私達は、このような情報を示した地図がどのように見えるかを大まかに作成してみました。左上の単純なモデル地図が、この考えを形にしてみた最初のコンセプト図です。ここには実際のデータは反映されておらず、単なるモデルです。白い四角はマッピングされていない部分、緑の四角は私達が測定した結果基準値と同じか低かった部分、黒い四角は測定値が基準値より高かった部分といった具合です。私達はこの数週間、これを実際の地図にしていくにはどうしたらいいかを検討してきました。

safecast私達は今日、この最初のバージョンをトップページに掲載しました。まだ望んでいる機能全てを備えていませんが、最初の一歩です。重要な問題の一つとして、「何を基準値にすべきか?」ということがあります。震災以前のデータがあまりないため、これは難しい問題です。現在のところ、基準値を35CPMとしていますが、これは変更される可能性もあります。私達は、皆さん(ウェブの閲覧者)自身でその基準値を変更することができるようにして、どこに基準値を置くべきかを各自で決められるようにしたいとも考えています。また、各四角についてより多くのデータを閲覧できるように(例えば基準値より高い測定値がいくつ見つかったかなど)したいと考えています。また地図を拡大しそれに合わせた粒度で情報が見られるようにもしたいと考えています。しかしこれが最初のマップであり、この方向性で進めていこうと意気込んでいます。皆さんからのご意見もお待ちしています。

もう一つトップページを見て気づいていただけるかと思うのは、ドライブマップについてのより詳細な説明と、私達の新しい(そして拡大中の)固定センサー(ガイガーカウンター)ネットワークです。これらは放射線レベルの経過を追い、変化を確認するのに非常に役立つことになると思います。…

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西白河郡西郷村:高橋さん

In 論説 by Ed M Koziarski

「超自然の大地」
西白河郡西郷村の高橋さん。大きな田んぼを季節外れに耕す。作付け禁止で今年は米は売れない。日焼けした肌が本当に健康的な高橋さん。この他にも大きなハウスで沢山の野菜 も作る。若い研修生がいるが、福島の農業の現状に何を言ってあげれば良いか悩み、悲しむそう。毎晩、自分の野菜がスーパーの裏に捨てられているかもしれないと思うといても たってもいられないという。…

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標高 1 万メートル、時速 785 キロでのセーフキャスティング

In 測定 by Pieter

先日私は Safecast の仲間とMITメディアラボで会うためにボストンを訪れました。いいガイガーカウンターのセットを装備していたため、フライト中に測定を行うことにしました。私達が通常使用している機器と同じものであるため、これらの測定値が日本の地上における値と比較してどのようなものか把握することができます。

計測には、私達が bGeigie に使用している Medcom Inspector と同じ、2インチのパンケーキ型センサーが内蔵されている、Thermo Scientific B20 を使用しました。この機器には、便利なログ記録機能が付いており、放射線測定に役立ちました。

以下が旅行中に取得した測定結果です。

– フライト:東京~ボストン
– 千葉県市川市の線量率:毎時0.2マイクロシーベルト
– X線機器内の最大線量率:毎時1.65ミリシーベルト(荷物だけです!)
– フライト中の最大線量率:毎時3.7マイクロシーベルト
– 平均線量率:毎時1.75マイクロシーベルト
– 旅行中の累積線量:21マイクロシーベルト
– ボストンの線量率:毎時0.10マイクロシーベルト
– ケンブリッジの赤レンガ表面の線量率:毎時0.23マイクロシーベルト(赤レンガはもともと若干放射能を帯びています)
– ケンブリッジのMIT原子炉前の線量率:毎時0.11マイクロシーベルト

もちろん、航空機内の放射線を福島における汚染と比較した場合、航空機内では人々は宇宙ガンマ線のみに比較的短い時間さらされるだけですが、福島の原発事故では、人々は終始放射線にさらされる上、強いベータ線を発する浮遊粒子にもさらされています。

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飯舘村、原町、川俣、福島市

In 論説 by Ed M Koziarski

塙町から運転すること2時間。30キロ圏内が通行止めのため、どうしても山をまわり、30キロ圏内をまわらないと太平洋海岸沿いの原町へゆけない。また、原町へ行くのに、飯舘村、川俣と放射線量がとても高い場所を通り抜けねばならない。飯舘村へ近づくともちろんガイガーカウンターの数値がぐんぐん上がるが、緑の美しさと、村の豊かな自然に目を奪われる。同時に気味が悪いほど人気がない。同時に見受けられる猿や、狐などの動物。田んぼも作付けはしていない。同伴の吉田広明さんはいう「秋には草が伸びきって、来年は道も通れなくなるな」廃村という言葉がちらつくが、それでも人の気配がどこかで感じられる本当に美しい村。

福島市:ここでは、地ぱんで有名な銀嶺株式会社の大橋雄二さんとお会いする。すごいオーラをもち、福島に笑いのある食を齎そうと必死である。大橋さんは地元でもたいへんな有名人。地元の食材を使い、地元福島で自然なパンを作り販売する。大橋さんの生き方は一本筋が通っている。放射能汚染はおそらく大橋さんには影響しないんじゃないかと思うくらいのパワーで、福島を回復へ導くため心身ともにつぎ込もうとしている。こういう人が福島には沢山いるのだ。国も行政もなにもしてくれない、だから私たち市民が動く!と・・・頂いたパンは本当に優しく自然の味がいっぱいでした。

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米農家:本郷さん「超自然の大地」

In 論説 by Ed M Koziarski

鮫川町、福島県。本郷さんは無農薬米栽培をしてきた何十年。震災による原発事故の放射能汚染で今年は、減反し、今まで買ってきてきてくれたお客さんには、「浄化をするから ,米はつくりません」と自ら作付けを止めている。自分の食べるぶんだけは育て、残りの余った土地へはひまわりを植える予定。…

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「超自然の大地」 2 週間目

In 論説 by Ed M Koziarski

「超自然の大地」 2 週間目

蛭田さんはここ数十年、福島県いわき市の端に位置する高い松林に囲まれた貝泊の小さな農業コミュニティに、農業を営む人達を日本中から招致してきました。しかし原発事故が起きて以来、特に若い農家の人達がこの地を離れています。

福元さんは、放し飼いで育ててきた乳牛に汚染された草を食べさせることを避けたいと考え、牛たちと共に広島に戻ることにしました。鈴木さんとご主人は、この地に止まるか離れるかについて意見が分かれています。ここでの空中の放射線レベルは、屋外で毎時 0.4 マイクロシーベルト、室内で毎時 0.3 マイクロシーベルトです。…