In センサーネットワーク, 放射線, 移動測定報告 by sean

先週、慶應義塾大学からの参加メンバーが私達のガイガーカウンターを載せて車で走行しました。これは、若干改善を施した装置で計測を行うためのテスト走行でした。改善した装置での初計測は今週末実施しました。テープで窓に固定したガイガーカウンターを写真に撮る(これでもうまくいったのですが)代わりに、私達は内蔵型のキットのようなものを作りました。小さな弁当(bento)箱のような形をしているため、私達はこれをbGeigieと呼んでいます。センサー機器を被災地にいるボランティアメンバーに渡し、私達が少し懸念している郡山周辺の学校で計測を行いました(1箇所、幼稚園の運動場近くで50µSv/hr(毎時50マイクロシーベルト)を超える数値が計測されました)。明らかに私達は放射線測定の専門家ではありませんが、以下に私達が行った計測とその結果をご報告します。写真の下のリンクをクリックするとこの記事の続きが読めます。

Setting up Bento Box Geo Radiation detector #bGeigie for Fukushima ride for #safecast.org

私達が今回使用した機器構成は、ガイガーカウンター2台(1台は車の外側に取り付け、1台は車の中で手に持ち、手に持つ方は車を止めて歩き回る際にも使用)、ノートPC、GPSモジュール、モバイルWi-Fiホットスポット、耐候性のケースです。機器をいったん車に取り付ければかなりの情報を追跡でき即座にアップロードすることができます。以下が、私達が集めたデータの内容です。

  1. 年-月-日
  2. 時:分:秒
  3. CPM(カウント毎分)*
  4. 緯度:ddmm.mmmm。ddは整数の度、mm.mmmmは小数点以下含めた分。mm.mmmmを60で割って度を求めることができる。
  5. NまたはS(北緯か南緯かを示す)
  6. 経度:dddmm.mmmm。dddは整数の度、mm.mmmmは小数点以下含めた分。mm.mmmmを60で割って度を求めることができる。
  7. EまたはW(東経か西経かを示す)
  8. GPSクオリティー表示
  9. 受信可能な衛星数
  10. 精度(単位:メートル)
  11. 標高(単位:メートル)
  12. GPS機器名
  13. 測定の種類

* 現在報告されるデータはほとんどがµSv/hr (毎時マイクロシーベルト)を使用していますが、ここではCPMを使用していることが注目すべき点です。µSv/hrは同位体を特定せず、何を計測するかにより数値が変わることから、どちらの測定法がよいか現在かなりの議論がなされています。私達が使用しているInternational Medcom Inspector Alert geiger countersは両方表示しますが、コネクターを通した出力はCPMです。私達は両方の数値を記録し、議論の際にはµSv/hrを使用していますが、この問題を引き続き検討し、このような目的のためにはどちらの計測単位を使用するのがよいか評価したいと思います。今回の場合はCPMを350で割るとµSv/hrが求められます。

私達の計画は、この装置を車内に取り付け、福島に向けて北へ向かい、避難地域外にある小学校、中学校、高校および道中での測定を試みることでした。これがうまくいけば、より敏速に広い範囲を網羅できるよう同じ設備を複数の車に取り付けて測定を実施するつもりです。今回の走行では、測定値と設備を再確認するために持ち歩き用の測定器を多めに持参しました。

#bGeigie -first bento boxed shaped automated geotagging Geiger counter system

4月23日土曜日、私達は最初の実地試験を行いました。日本のチームメンバーであるMauricio、Pieter、Robin、Steveは朝一番にTokyo Hackerspaceに集合し、機材を接続、テストした後出発しました。福島の新聞に避難地域各地の放射線測定値を示す地図が掲載されており、写真から分かるように数値にかなりの差があります。私達はさらに多くのデータを取り、この地図と相互参照してみたいと考えました。

#fukushima newspaper Radiation map showing 20km zone and radiation levels. Notice variance on the edges of the zone.

これに加えて今回の走行では、機器を現地にいる方に渡し、私達が去った後も測定を続けデータをアップロードしてもらうことにより時系列データを得られるようにすることも目的としていました。今回の郡山への走行では現地のボランティアチームに2台の測定器と1台のiPhone(画像とデータを私達のサーバーにアップロードしてもらうため)を渡し、この目的を果たすことができました。

Met volunteers for #safecast.org in koriyama and handed a Geiger counter and geotagging iPhone to start data reporting

私達が実際に取ったデータも非常に興味深いものでした。現在ログをチェックしているところで(重複データを削除するなど)、間もなく当サイトの地図およびPachubeにアップロードする予定です。アップロードされれば、記録を取った各地点のデータが閲覧可能となり外部の方に評価していただくことも可能になります。持ち歩き用の機器で測った測定値のいくつかを、写真に記録したものがここで見られます。全体として、6.5時間走行し、5000弱の地点で計測を行いました。また、郡山の学校5校の校門前で計測を行いました。

全ての測定値の中で顕著に高い数値が計測された場所がありました。

 

これが私達が測定した中で最も高い数値でしたが、一貫して舗道などでは20~30µSv/hr、土壌上では5~10µSv/hr(土壌上で多かったのは5~6µSv/hr)という値が計測されました。空中での測定では、非常に一貫したデータが計測されました。郡山では、1.2~2µSv/hrでした。3台のMedcom社製の測定器では一貫して同じ数値が計測され、1台のGamma Scoutでも同じ測定値が計測されました。このように複数の機器で計測したのは、機器の不具合や較正誤差がないことを確認するためです。

これらの数値を相関関係の中で理解するために参考数値を挙げると、4月24日日曜日、ロサンゼルス近くのシルバーレイクを計測したところ、空中の測定値が0.089µSv/hr、地面上の測定値が0.227µSv/hrでした。また日本では、福島原発事故以前の放射線業務従事者の被曝限度は、緊急作業時で累積の上限が100 mSv(100ミリシーベルト)で、一般人の被曝限度は1 mSv/yr(年間1ミリシーベルト)です。50µSv/hrというと、年間438 mSv(438ミリシーベルト)の被曝となり、上述の放射線業務従事者の上限の4倍以上になります。

もちろんこれらの数字については補足説明が必要です。上述のように、シーベルトSievert)はそれ自体について異論があります。さらに、私達が使用したセンサーではアルファ線とベータ線を測っておりこれらがµSv/hrによる測定値に含まれていますが、上述の被曝限度は主に高エネルギーガンマ線に焦点を合わせたものである可能性があります。センサーによっては高エネルギーガンマ線のみ測るものもあります。アルファ粒子とベータ粒子は速度が遅く透過力も低いため、照射されても危険度は比較的低いと考えられるかもしれませんが、摂取したり吸入したりした場合、内蔵の一部で濃縮され、高エネルギーガンマ線による攻撃より深刻な損傷をまねく可能性があります。言い換えると、壁の50µSv/hrの放射線が最終的に甲状腺の中のたった1cm3に濃縮され、例えば50µSv/hrの高エネルギーガンマ線で体を攻撃された場合(この場合体の全細胞がほぼ均一に攻撃を受ける)に比べ、はるかに高い線量を特定の細胞群が受けることになる可能性があります。がん細胞を破壊するための放射線濃度とX線写真で広範囲に浴びる放射線の違いを考えてみてください。それでもややこしいのですが、様々な種類の放射線および線量に関する理解を助けるこのような解説画像がありましたので、ご参照ください。

繰り返しになりますが、私達は放射線に関する専門家でも、保健物理学者でもありません。私達はこれらの測定値がどれくらい安全か、またはそうでないかを主張しているのではありません。私達は、これらの地域の住民の方々が詳細な情報を得た上で自ら決断できるよう、住民の方々にとって重要である可能性のあるデータを見いだし提供しようとするものです。全て安全ですと言われることと、実際の測定値にアクセスでき自分で決断を下せることは全く別物です。とはいえ、私達はこのデータの解釈と調査手順の改善について積極的に専門家の力添えを求めています。この点で、皆様または皆様のお知り合いでご支援いただける方がおられましたら、ご連絡ください。私達もこの点について学びながら、引き続き方法を見直し修正していく予定です。今回の調査は日本で今後も行っていく調査の第一回に過ぎません。今後調査を実施しながら走行の都度より多くの測定器を配布し、何が起きているかを明らかにしていけたらと考えています。

これらの取り組みはこれまで少数の方々のご厚意と寄付で支えられてきましたが、この取り組みを続けるにはより多くの資金的援助が必要になります。少額でも寄付するよ、という方がおられましたら、このkickstarter募金をチェックしてみてください。お読みいただきありがとうございます。